家族が認知症と診断されたらまずやること5選!

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もし自分の家族が認知症と診断されたら。あなたはどう感じ、これからどうしていくでしょう。日本は、2007年超高齢社会を迎え、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるとも言われています。大切な家族が認知症と診断されたらまず何をしなければいけないのか、認知症を正しく理解して、これから認知症と上手く付き合っていく術をお伝えしていきます。

 

認知症を正しく理解しよう

自分の家族が認知症と診断されたら、誰もがすぐには受け入れられないと思いますし、これから先どうなってしまうのだろうという漠然とした不安が押し寄せてくるのではないでしょうか。しかし、その不安は“認知症”というものがどんなものなのか、どう対応していけばよいのかがわからないために生じてくる不安なのです。認知症を正しく理解して、冷静にこれからのことを考えていきましょう。

 

本人も家族も動揺するのは当たり前

今まで一緒に過ごしてきた家族が認知症と診断された場合、動揺するのは当たり前だと思います。そして、ご家族はもちろん、一番動揺し、ショックを受けるのはやはりご本人です。認知症の症状が既に少しずつ現れていると思いますので、

「なぜこんな場所(病院)に連れて来られなくてはならないんだ」

と怒り出したり、

「私は認知症なんかじゃない!」

と拒絶する人もいらっしゃると思います。

認知症の診断を受けてから、まずやらなければいけない大切なことは、ご本人・ご家族の気持ちを落ち着かせることです。

認知症はすぐに悪化するものでもありませんし、進行を遅らせる術が全くないわけではありません。認知症という診断を受けたからといって、ご本人が何か変わるわけでもありません。認知症を怖がることなく、これからいろんなことを忘れてしまわないように、生活での困りごとを少しでも減らせるように、今できることを一緒にやってみましょうかと優しくご本人と話すことが大切です。

認知症は早期発見・早期治療が望ましいとされています。それは、認知症の進行がある程度進んでしまってから診察や治療を始めてしまうと、ご本人の理解が得られにくく、服薬治療の拒絶や混乱がより起きやすくなってしまうからです。

早く診断がついて、早期の段階で治療や対策ができること、まずはその点をよかったと安心してください。

 

認知症と上手く付き合っていくために

認知症と診断された後は、認知症を正しく理解した上で、上手く付き合っていくことが大切です。

認知症は、一部特殊な場合を除いて、元の状態に戻ることは難しいとされています。しかし、現在では進行を緩やかにするための様々なお薬や非薬物療法という認知症に対するリハビリが確立されています。診断を受けてからは、定期的に主治医の診察を受け、適切な薬物療法と生活上のリハビリで、できる限り進行を遅らせて、認知症のご本人がご本人らしく穏やかに生活できる時間を長くすることが大切です。

そのために、次で述べる具体的な対策を活用しながら、認知症と上手く付き合っていってください。そして、ご家族は認知症を見るのでなく、身近にいるご本人をしっかり見てあげてください。

 

認知症と診断されたらやること5選!

ご本人・ご家族ともに気持ちの整理をしながら、具体的にこれからの準備を少しずつ考えていくことが大切です。これから認知症と診断されてからぜひやっていただきたいことを5つご紹介しますので、できるところから少しずつ始めてみてください。

 

規則正しい生活を心がける

まず、認知症の進行を緩やかにするために大切なことは、バランス良い食事を摂り、規則正しい生活を送ることです。ご家族からみて、認知症と診断されたご本人が偏りのある食事を摂っていないか、不規則な生活で生活リズムが崩れていないかを改めて見てみてください。認知症は年齢を重ねて自然と進行していくだけではありません。食生活や不規則な生活による生活習慣病が認知症を引き起こす一つの要因となっています。

また、認知症は他の病気やケガをすることによって症状が悪化することも容易にあります。今後症状が悪化せず、健康に元気よく過ごしていただくために、まずはバランス良い食事と規則正し生活を整えるお手伝いをしてあげてください。

もしご家族が一緒に住んでおらず、食事がしっかりと摂れるか心配という方は、定期契約のお弁当宅配などのサービスが近所にないか調べてみると良いでしょう。

 

身の回りの生活環境を整える

認知症の方にとって、症状がある程度進んでから環境を変えるということは混乱を招きやすく、できる限り慣れた環境で安全に生活できることが大事です。そのため、認知症の診断を受けて、まだ症状の進行が進んでいないうちに、ご本人と一緒に自宅の生活環境をどのように整えたら安全に安心して過ごせるのかを考えてみてください。

例えば、床にものがたくさん置いてあって、つまずく可能性が考えられるのであれば、目に見えやすい棚を置いて、整理すること。

夜トイレに行く際に暗くて転倒の危険があるならば、廊下に手すりや人感センサーの電気を設置する。

薬の飲み忘れが増えてきたのであれば、お薬カレンダーや散薬トレーを使い始めるなど。

大切なことは、認知症のご本人が納得するように環境を変えていくことです。ご本人の相談なく配置を変更したり、環境を変えてしまうと、不信感から大切なご家族に対して物取られ妄想が出てきたり、介護拒否に繋がる恐れもあります。

 

使える介護サービスや給付を理解する

認知症が進行してきたり、体力の衰えなどで、生活に介助が必要になってくると、介護保険が利用できる場合があります。介護保険の認定を受けると、必要に応じてヘルパーやデイサービスなどの施設が利用できたり、福祉用具のレンタル・介護サービスの利用に給付を受けられたりします。

自治体によって、どのような特色のデイサービスやデイケアなどの施設があるかは異なるため、ご本人の希望に合った施設はあるか調べてみるのも良いと思います。

「施設なんて行かない!」という高齢の方も多いと思います。しかし、ひと昔前とは介護福祉施設も異なり、比較的元気で体を動かせる方が行くための運動に特化したデイサービスや囲碁や将棋、麻雀など娯楽を楽しめるデイサービスなども増えてきているため、どのようなサービスが介護保険を使うとどのくらいの料金で使えるか、各自治体に問い合わせてみるのもよいでしょう。

 

抱え込まずに周囲に助けを求める

認知症を診断された場合、そのことを一人で抱え込まず、周囲に話すことも大切です。認知症の方を支えていくためには、周りで暮らす人の理解や他の家族の助け、専門職の助けが必ず必要です。ご家族一人が抱え込むのではなく、周りの人たち皆で支えることで、認知症を患いながらもたくさんの方の見守りの中で安心して生活ができるのです。

認知症の症状で、“徘徊”というものがあり、家から外に出たけれど、その場所や目的がわからなくなって迷子になってしまうということもよくあります。そんな時、周りに暮らす人たちが状況を理解してくれていれば、「どこに行くんですか?」「家まで一緒に行きましょうか。」などと優しく声をかけてくれて、無事家に戻ることができます。

そのような心配がある場合には、洋服やいつも身につける物に名前やご家族の連絡先を記しておくのも一つの対策です。

また、具体的に介護サービスや福祉用具をどのように使っていけば、ご本人もご家族も安心して生活ができるのかを考える際には、介護認定を受けると担当ケアマネージャーが一緒に考えてくれます。認知症の方やご家族を支える専門のスタッフに頼れるところは頼って、認知症と上手く付き合っていく方法を探してください。

 

趣味や生きがいを作る

認知症の進行を緩やかにして、最後までご本人らしく生活してもらうためには、趣味や生きがいというものがとても大切です。生活に張り合いがなく、役割や楽しみがなくなってしまうと、どんどん認知症は進行しやすくなります。得意な手芸で作品を作ったり、近所のグランドゴルフや将棋倶楽部に通ってみたり。周囲との交流や役割などを得られる趣味をぜひ見つけてみましょう。そうすることにより、人と話すこと、体や指先を動かすことで脳は活性化され、認知症進行予防に繋がり、その人らしく穏やかに生活できるきっかけにもなるでしょう。

 

まとめ

以上のように、認知症を診断されてから、何かがすぐ変わるということではありませんし、認知症の進行を緩やかにするためにご家族ができることはたくさんあります。認知症の介護は簡単なものではなく、長期戦です。認知症の診断をされたご本人も、できる限り穏やかに生活ができること、そのご本人を支えていくご家族も決して無理をしすぎないことが長い目で介護を継続していくためにとても重要です。認知症を怖がることなく、正しく理解し、介護サービスや周りの人たちを頼りながら、これから“頑張りすぎない介護”をしていってくださいね。

髙橋 慶香(たかはし ちか)

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おじいちゃんおばあちゃんが大好きな作業療法士×福祉ネイリスト。その他、医療福祉系を中心としたWEBライターとしても活動中。モットーは「心が動けば体も動く」。

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