給料制?業務委託?福祉ネイリストの働き方とは?

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福祉ネイリストという資格が確立されたのは、2014年頃のことです。そのため、まだ資格に関しての周知や、一つの仕事として生計を立てていくためには、福祉ネイリストそれぞれの知恵や工夫が必要となってきます。そんな中でも、福祉ネイリストたちの活動をバックアップしてくれる協会の存在や実際に福祉ネイリストたちはどのように働いているのかという疑問に対して詳しくご説明していきたいと思います。

 

福祉ネイリストの働き方は自分次第で決められる

福祉ネイリストとして働くためには、日本保健福祉ネイリスト協会が定めた日本全国42か所(2020年11月現在)にあるいずれかの日本保健福祉ネイリスト協会認定校で3時間×7日間の課題や自主練習を含めたカリキュラムを受講し、実地研修を行い、合格した後にディプロマ(認定証)を取得する必要があります。

認定校を卒業してからは、各個人での活動が始まります。福祉ネイリストは、カリキュラムの講習内で、施術の仕方や主な対象となる高齢者・障がい者福祉について、活動していく心得なども学んでいきますが、基本的にどのように福祉ネイリストとして仕事をしていくかは自分自身で決めることができます。どこに営業をするか、何時間働くか、どのようなメニューで料金設定はいくらにするかなどは自分の生活や仕事に合わせることができるのです。

※メニューや料金設定に関しては、基準や主な内容は日本保健福祉ネイリスト協会にて提示されています。

 

主な訪問先は入所・通所施設

基本的に福祉ネイリストは、自身のネイルサロンを持ちお客様を迎えるのではなく、ネイルセットを持参し、訪問してネイルを施術します。その主な訪問先は、高齢者・障がい者の方の入所施設や通所施設が大半を占めます。例えば、介護老人保健施設や老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービスや就労支援作業所などが挙げられます。また、場合によっては個人様からの依頼を受けてご自宅に訪問することもあります。

そのため、車いすの方や寝たきりの方、身体に障害を負った方に対して、できる限り快適にネイルやハンドトリートメントを受けていただけるよう、環境設定や施術方法の工夫なども必要となってきます。

 

正社員ではなく業務委託契約

福祉ネイリストという仕事は、ほとんどが個人としての活動となりますので、正社員で働くという捉え方でなく、施設や事業所からの業務委託契約という形で働くことが多いです。そのため、福祉ネイリストの資格を取得したからといって、一定の収入が保証されるのではなく、自分で訪問先の施設に営業をし、お試し会などを実施した上で、定期訪問の契約や個別での契約を獲得する流れになります。また、施設訪問に繋がるまでには様々な場合があり、自分で訪問先を獲得する場合もあれば、既に訪問している施設様から系列施設をご紹介いただいたり、施設や医療福祉の現場スタッフからのご要望や福祉ネイリスト同士の繋がりでの依頼などもあります。

 

安心して仕事をするために

ここまで福祉ネイリストの働き方についてお話をしてきて、福祉ネイリストになって自分一人で訪問先の施設を開拓したり、営業をしたりと、一定の収入を得るまでとてもハードルが高く感じるかと思いますが、安心してください。福祉ネイリストの資格取得後、決して誰の助けもなく一人で活動していくのではなく、様々なフォローやアドバイスを受けられたり、一人のネイリストとして安心していくための備えもあります。

 

日本保健福祉ネイリスト協会のバックアップ

福祉ネイリストの資格取得後には、年会費3,000円を一年毎に支払い、日本保健福祉ネイリスト協会に所属することになります。そして、協会からの情報提供や卒業した認定校にて年4回のアートセミナーなどが行われ、福祉ネイリストとしての今後の活動情報を得る機会やネイルスキルの維持向上の機会も準備されています。また、各認定校にもよりますが、定期訪問をしている施設や新しく開拓した施設を紹介してもらったり、他の福祉ネイリストと共に同行して施設訪問に行く場合もあります。訪問施設の営業に悩んだり、施術方法を工夫したいけど良い方法はないかと疑問に感じた時には、卒業した認定校の講師や周りの福祉ネイリストたちからアドバイスをもらえる環境もあります。

 

ネイリスト保険に加入

日本保健福祉ネイリスト協会に所属し、福祉ネイリストとして活動していくためには、みなさんネイリスト保険(賠償保険)に加入することが義務付けされています。それは、利用者様に安心してネイルを受けていただくため、さらには福祉ネイリスト自身を守るためでもあります。決してあってはならないことですが、ネイル施術中にケガをさせてしまったなどの事態にしっかりと補償させて頂く形をとっています。しっかりと一人の福祉ネイリストとして仕事をしていくための責任と保証のため、保険に加入するのです。

 

福祉ネイリストの収入

福祉ネイルの一人当たりの価格は1,000~3,000円程度。施術時間は約20分です。通常のネイルサロンでのジェルネイル等に比べ単価は安いですが、施術時間も短く、1施設当たりにたくさんの方を施術させていたければ、それだけ収益を上げることができます。福祉ネイリストによって活動時間や契約数が異なるため、収入はそれぞれ異なり、まだ福祉ネイルというものが広く普及している世の中ではないので、この仕事一本で生計を立てていくには努力が必要です。しかし、最近では福祉ネイリストだけで月15万円以上収入を得ている方もいますし、ネイリストや他の仕事と両立させながら活動している方もいます。

 

働き方の多様性

福祉ネイリストの主な仕事は施設等に訪問して高齢者・障がい者の方にネイルやハンドトリートメントをすることですが、それだけが福祉ネイリストの仕事ではありません。元々営業が得意な方は、福祉ネイリストの訪問先を開拓していくたの営業に力を入れて働いていたり、病院や施設で働きながら、福祉ネイリストとして活動したり。子育てや家事をしながら空いている時間で福祉ネイリストとして働いている方もいます。さらには、施設訪問だけではなく、医療福祉スタッフの方向けに講演会や勉強会を開催したり、福祉イベントでの出店をしてイベントや暮らすまちを盛り上げるお手伝いをしている方もいます。

自分が福祉ネイリストとして、どんな方に寄り添いたいか、どこに関わっていきたいか、それを考えて、いろんな可能性で動くことができるのが福祉ネイリストの仕事です。

 

まとめ

高齢化が進んでいく日本で、福祉ネイリストという資格・仕事はこれからどんどん需要が高まっていくことでしょう。日本保健福祉ネイリスト協会でも、福祉ネイルの可能性や必要性を確立していくために、日々新しい分野に挑戦しています。そして、やりがいや信念をもって活動している福祉ネイリストたちが、一仕事として誇りをもって活動を続けていけるよう自己啓発に努めています。医療や介護、福祉の現場で福祉ネイルが当たり前の存在になっり、福祉ネイルを受ける利用者様やその方を取り巻くご家族や現場スタッフ、そして福祉ネイリストみんなの笑顔がどんどん広まっていくことを願っています。

 

髙橋 慶香(たかはし ちか)

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おじいちゃんおばあちゃんが大好きな作業療法士×福祉ネイリスト。その他、医療福祉系を中心としたWEBライターとしても活動中。モットーは「心が動けば体も動く」。

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