高齢者を地域で支える地域包括ケアシステムとは

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日本では、65歳以上の高齢者人口は1950年以降増加の一途を辿っており、2023年の高齢化率は29.1%と世界一になっています。そんな中、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の必要性がさらに増加してくると予想されています。

超高齢社会、老老介護、独居高齢者、認知症など、さまざまな不安と課題が生まれる人生100年時代のこの世の中で、安心して暮らしていくためには、やはり周囲の人やサービスの助けが必要です。

現在は、年齢を重ねても住み慣れた地域でその人らしく暮らしていくために、地域包括ケアシステムというものの構築が国としても推進されています。今回の記事では、そんな地域包括ケアシステムを解説するとともに、福祉ネイリストという新たな職業が果たせる地域包括ケアシステムに対しての役割をご紹介していきます。

 

地域包括ケアシステムとは

厚生労働省は2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的に、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、地域の包括的な支援やサービス提供体制の構築を推進しています。

それが地域包括ケアシステムであり、2005年の介護保険改正で初めて「地域包括ケアシステム」という言葉が使われました。その後、2011年には、「自治体が地域包括ケアシステム推進の義務を担う」と明記され、各地域でシステムの構築が義務化されたのです。

現在は、地域で自分らしく暮らしていくために必要な医療や介護サービス、支援サービス、リハビリサービスなどが年々増えてきており、地域包括支援センターやケアマネージャーと呼ばれる専門職が高齢者やその家族と医療・介護サービスを繋ぐコーデイネーターとして存在しています。

 

地域包括ケアシステムを構成している5つの要素

地域包括ケアシステムでは、5つの要素を住み慣れた地域で途切れることなく一体的に提供できることが重要とされています。一つずつ詳しくみていきましょう。

住まい

ここで言う「住まい」は、自宅はもちろんのこと、サービス付き高齢者住宅などの介護福祉施設も含まれます。最期を迎えるまで安心して過ごせる住まいの提供賃貸住宅契約・更新時の保証人の手続き空き家の有効利用なども必要とされています。

医療

地域で暮らすために、日常必要な医療や緊急時の対応など、場に応じてさまざまな医療機関・サービスが密に連携する必要があります。例えば、かかりつけ医や地域の連携病院、急性期・回復期病院や訪問看護サービスなど。これらの機関・専門職同士が情報共有や連携体制を構築しておくことで、もし万が一のことがあっても入院や在宅医療の以降がスムーズに行われ、切れ目ない支援が提供できます。

介護

現在介護サービスは提供事業所も増え、サービスの種類も多岐に渡ります。主に、「在宅系介護サービス」「施設・居住系サービス」の2つに分類されます。在宅系介護サービスとは、訪問看護や訪問介護、通所介護など、在宅生活を支援するためのサービスを指します。施設・居住系サービスとは、特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護など、入居しながら必要な介護を受けられるサービスのことを指します。介護が必要な状態になった際に、通所サービスの利用や施設入所など、必要な介護を受けられるような体制を整えることが必要とされています。

介護予防

介護予防は地域包括ケアシステムの土台とも言える部分です。自治体単位で健康づくりやコミュニティの場の提供などを通して、要介護状態を未然に予防し、在宅生活を元気に長く続けていくことを目指します。要支援・要介護になった場合、介護度合いが増さないように現状維持し、病気やケガ、認知症などを予防していくという考え方が少子高齢化の日本では、より必要となります。

生活支援

地域で安心して暮らしていくためには、日常の生活支援が欠かせません。見守りや買い物支援、配食など、生活援助に関しては必ずしも専門職である必要はありません。地域の老人会やボランティア団体、NPO法人や民間企業など、さまざまな人の手やサービスが関わることで高齢になったり、支援が必要になった状態でも地域で暮らしていける可能性が広がっていきます。

 

地域包括ケアシステムの構築のためには、4つの助と呼ばれる「自助」「公助」「互助」「共助」いずれも大事な考えであるとされています。

 

地域包括ケアシステムのメリット

地域包括ケアシステムには、現代の社会が抱えている課題に合ったさまざまなメリットが秘められています。それは、当事者である高齢者だけでなく、見守る家族に対しても大きなメリットがあります。

医療ケアが必要な高齢者が自宅で過ごすことができる

以前は、重度な医療ケアが必要な方や介護度の高い方は、入院や入所が必要でしたが、地域包括ケアシステムが構築されることで、自宅にいながら必要な医療や介護サービスを一貫して受けられる可能性が高まります。

そうすることで、「最期は自宅で過ごしたい」などといった高齢者や家族の希望に合わせた選択肢の幅が広がります。

家族の負担が軽減される

高齢者や介護を必要とする方が自宅で暮らすということは、それだけ家族の負担も増えることが懸念されます。公的な介護サービスを上手く活用したり、民間の配食や買い物支援、認知症カフェなど地域で支え合える仕組みを利用することで、家族の負担が軽減されることが期待できます。

高齢者の社会参加の機会が増える

地域包括ケアシステムの構築には、医療や介護の専門家だけでなく、そこで暮らしている地域住民の参加も重要です。高齢者や支援が必要な人を孤立化させない、介護予防という観点でも、高齢者の社会参加の機会を増やしていく取り組みも進んでいます。互助の精神でお互いが地域の中で助け合い、生きがいや役割を持って暮らしていくことが大切なのです。

地域課題に合わせた新しいサービスが生まれる

地域包括ケアシステムの推進が始まってから、在宅医療の体制や訪問看護・介護事業所の増加など、地域に新たなサービスがどんどん増えています。また、公的なサービス以外でも、各地域における課題に合わせて、さまざまな自費サービスが生まれています。

例えば、配食サービスや訪問理美容サービス、地域高齢者と子どもを繋ぐ取り組みなど。その地域のニーズに合わせて、提供されるサービスの幅や選択肢が増え、それはまた、地域の新たな魅力と雇用を生むことにも繋がります。

 

福祉ネイリストという職業が地域包括ケアシステムの構築の一助を目指す

2023年には、約2,000名の福祉ネイリストが誕生し、全国各地で、高齢者や障がい者に対して、訪問しネイルサービスを提供しています。福祉ネイリストは、指先を彩るだけでなく、ネイルサービスを通じて”癒し・元気・希望”を届ける職業です。

高齢者施設やご自宅に訪問し、手と手の触れ合いを通じて会話を大事にしながらネイル施術を行います。それをきっかけに、施術を受けた方は他者との会話が増えたり、外出の機会に繋がるなどの効果がみられます。高齢者の日頃の変化に目を向けた関わりを行い、時には医療や介護スタッフと連携をしながら活動をしています。

ネイルをすることで、その人らしくいられるお手伝いをし、高齢者自身の自助の力を育んだり、社会参加のきっかけをつくります。

今後益々地域包括ケアシステムの推進が進んでいく中で、福祉ネイリストの各地域での活躍にも注目をしていただければと思います。

 

まとめ

少子高齢化の問題や医療費・介護保険費の削減などを考えても、地域包括ケアシステムの推進はどの地域においても必要不可欠となります。その中でも、公的なサービスや医療・介護の専門職だけでなく、さまざまなニーズや地域特性に合わせたインフォーマルサービスを上手く活用していくことが『住み慣れた地域でその人らしく暮らす』ことを後押ししてくれるのではないでしょうか。

ぜひ、ご自分の暮らす地域でも、福祉ネイリストを地域包括ケアシステム構築の一員として取り入れたいと思ってくださる方がいらっしゃいましたら、下記ページよりお気軽にお問い合わせください。

一般社団法人 日本保健福祉ネイリスト協会へのお問い合わせはこちら

 

【参照サイト】

総務省統計局 統計からみた我が国の高齢者

厚生労働省 地域包括ケアシステム

 

髙橋 慶香(たかはし ちか)

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おじいちゃんおばあちゃんが大好きな作業療法士×福祉ネイリスト。その他、医療福祉系を中心としたWEBライターとしても活動中。モットーは「心が動けば体も動く」。

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