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重度心身障がい者の方やターミナルケアの方にも福祉ネイルを届けたい

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福祉ネイリストは高齢者や病気・障害を抱えた方に対してネイルやハンドトリートメント(マッサージ)を行います。その対象の方は、ご自分で歩くことができる方に限らず、車いすに乗っている方やベッドに寝たきりの方もいらっしゃいます。そのため、実施する場所は、イベント会場であったり、病院・施設であったり、ご自宅の場合もあります。施術する福祉ネイリストは、ご家族・ご本人様のご要望や状態としっかり向き合い、ネイルを行える状態かを見極め、障害や寝たきりであったとしても、ネイルを楽しんでいただけるようにその方にあった環境設定を作り出します。

今回は、自ら体を動かすことが難しい方に対しても福祉ネイルを提供できるということ、そして、そんな方々に福祉ネイルを提供する意味を私たち福祉ネイリストがどう考えて、感じているかを実際の声を踏まえてお伝えできればと思います。

 

重度心身障がい者とは

重度心身障がい者とは、自分で体を動かすことが難しい重度な身体障害と年齢に相した知的発達が見られない知的障害が重複している方を指します。その方のほとんどは、自力で起き上がることや座っている姿勢を保つことが難しく、自宅でベッド環境を整えたり、専用の大きな車いすを使用することが多いです。また、中には呼吸や栄養を摂るということも自力では難しく、人工呼吸器や栄養を管を通して直接体内に入れる器械を取り付けている方もいらっしゃいます。

しかし、自力で動くことが難しい、スムーズにお話ができない重度心身障がい者の方でも、もちろん感情はありますし、コミュニケーションをとれないわけではありません。日々接しているご家族や介護スタッフは、小さな表情の変化や体の反応でご本人の感情を感じ取ります。さらには、筆談や目の動き、指の動きからご本人の言葉を伝えることのできる『意思伝達装置』という器械を使用して、言語だけに限らない様々な方法でコミュニケーションを図っています。

 

ターミナルケアとは

ターミナルケアとは、病気や認知症、老衰などにより余命わずかになった方に対して、残りの人生をご本人ご家族の希望に沿ってその人らしく過ごせるように総合的にサポートする考え方です。その中には、投薬などで痛みを緩和するケアや栄養面、体の状態や毎日の生活面をサポートする『身体的ケア』と、ご本人の希望に沿って、できる限り穏やかに、そして最大限満足のいく最期を迎えられるための『精神的ケア』、入院や介護にかかる経済的負担や周囲との関わりをサポートするための『社会的ケア』が含まれます。

『身体的ケア』と社会的ケア』に関しては、医師や看護師、ケアマネージャーなどの専門職の助けが必要となってきます。そして、『精神的ケア』というものは、ターミナルケアでご本人のQOL(生活の質)を向上させる上でとても重要で、かつご家族ができる大きなサポートでもあります。具体的なものとしては、「最期は自宅で、今までのように家族や友人に囲まれながら過ごしたい。」というご本人の希望であれば、自宅でできる限りご本人が穏やかに過ごせるようにベッド周囲の環境を整えたり、家族写真や今までの記念写真を飾ってあげたり、好きな音楽を流したり、などといった工夫もあります。

ご本人の最期の時の気持ちを満たしてあげることは、残されたご家族の気持ちの整理にも繋がります。体の状態や気持ちはつらいことがたくさんあると思います。そんな中でも、少しでもご本人を中心に笑顔になれることを探していくのがターミナルケアなのではないかと考えます。

 

福祉ネイルを行う理由

日本保健福祉ネイリスト協会の理念は、『美容サービスを通じて生活に彩りを放ち、万人が輝きある人生を送れるようサポートすること』です。我々福祉ネイリストは、爪をキレイに彩り、美しさだけを見ているのではありません。向き合って触れ合う方の身体の状態や生きてきた人生、ネイルをすることによって、これから先どのような変化があるか、行く先までを見ながらネイルを施します。

だからこそ、重度な障害があったとしても、寝たきりであったとしても、ネイルをすることによって、そのご本人・ご家族が喜んでくださって、生活の中に更なる輝きが生まれるのであれば、福祉ネイルを行う意味は必ずあると考えています。時には、病気や障害のことではない、ただ何気ない「きれいですね、可愛いですね。」と言った会話が笑顔でできることの意味は大きいのではないでしょうか。

手と手のふれあいや、ネイルをすることによって喜びの感情が生まれ、『オキシトシン』という幸せホルモンが分泌されることも考えられます。『オキシトシン』は癒しやストレス緩和の効果や不安・恐怖心を和らげる効果があるとされています。だからこそ、ターミナルケアの方にも福祉ネイルを届ける意味は必ずあるのではないかと思います。

 

福祉ネイルを体験された方の実際の声

大越桂さんにベッド上でネイルを施術する宮城県名取校所属の木嶋沙綾香さん

こちらの写真は、福祉ネイリストが実際に施術させて頂いた時のものです。福祉ネイルを受けてくださっている女性は、大越桂さん。重症心身障がい者で、重い障害と付き合いながら自宅で生活を送っています。直接お話することは難しいですが、介助付き筆談でご自身の想いをブログにて発信されています。

以下、福祉ネイルを行った際の大越さんの感想です(ブログより一部抜粋)。

初めて体験したひまわりの夏ネイル

ずっとお守りになってくれたおかげで

元気に秋をむかえることができました

ここから始まる

小さな爪から想像が広がり

あんなこと

こんなこと

どんどん元気が出てくる

みんなが見に来てくれると

会話が弾むし

男性職員さんとも握手したりして

人の手の暖かさをお互いに伝えあうこともできますしね

いい意味で身なりがキレイになることは

自己表現でもあり

何より誰かとすごす素敵な時間に癒される

 

ぜひ、大越さんのブログも拝見してみてください。

積乱雲 おしゃれのヒミツ

 

まとめ

まだまだ福祉ネイルを知らない方も多くいらっしゃると思います。しかし、全国の福祉ネイリストたちは、認知症の方や、病気・障害と闘っている方、その方々を支えるご家族など、万人の方に、ネイルを通じて元気を届けたいという気持ちで活動しています。そんな方々に当たり前に福祉ネイルをお届けできる世の中になるように、切に願っております。

髙橋 慶香(たかはし ちか)

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おじいちゃんおばあちゃんが大好きな作業療法士×福祉ネイリスト。その他、医療福祉系を中心としたWEBライターとしても活動中。モットーは「心が動けば体も動く」。

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