認知症予防のために 知っておくべき5つのポイント!
認知症は発症すると、ごく一部の例外を除き元の状態に戻ることが難しいと言われています。だからこそ、予防と早期発見が大切になってきます。認知症を予防するために行うことは、実はそんなに難しいことではなく、ちょっとした工夫でできるものばかりです。こちらの記事を読んで、大切な方が認知症を予防し安心してイキイキと暮らしていけるように、一緒に生活を見直すきっかけにしていただければと思います。
生活習慣を正そう
メリハリのない生活を送ることによって、日常に刺激が少なくなる、身なりを気にしなくなる、日付や時間を気にしなくなる、そういった積み重ねが脳の機能を低下させ、認知症へと繋がっていきます。認知症を引き起こす可能性のある脳血管疾患はこういった生活習慣の乱れからくる生活習慣病が大きな要因とも言われています。毎日十分な睡眠をとり、規則正しい生活を送る。このことが認知症予防にもなりますし、元気なうちに規則正しい生活が日課として染みついている方は、認知症を発症しても、日常生活を送る上での介助が少なくご本人らしく生活できる期間が長くなります。
バランス良い食事を摂ろう
認知症を予防するためには、生活習慣を正すことと合わせて、バランス良い食事を摂ることも重要となってきます。認知症予防に良いとされる食材などもありますので合わせてご紹介していきます。
一汁三菜の和食や地中海風の食事
昔から食事のバランスが良いとされる『一汁三菜』の考え。米やパン、麺類などの主食と肉や魚、卵や大豆製品などのタンパク質が摂取できる主菜、野菜や海藻などでビタミンや食物繊維を摂る副菜。これら一汁三菜の揃った食事を一日3食のうち、2食摂ることを心がけましょう。また、オリーブオイルを使用し、魚介類や野菜果物、ナッツ類を多く使われる『地中海食』と言われる食事が健康寿命を延ばしたり、認知症を予防する効果があるとも言われているため、食事を作る際に取り入れてみるのもよいかもしれません。
塩分を控える
塩分の多い食事を摂っていると、高血圧になりやすく、脳卒中や心筋梗塞、不整脈など様々な病気になる可能性が高くなります。認知症の原因となる元の病気を予防し、健康で毎日を過ごすためには、出汁や香りを楽しめる料理の工夫を取り入れていくことも必要です。
青魚や果物、緑黄色野菜
サンマやサバなどの青魚にはDHAやEPAと呼ばれる成分が多く含まれ、それらは加齢による記憶力などの認知機能の低下や認知症の予防に効果的です。さらに、ホウレンソウや赤ピーマン、かぼちゃなどの野菜や果物などに含まれる抗酸化物質は、認知症の原因となるアミロイドβなどの蓄積を防ぐ効果があるとされているので、食事の際には積極的に取り入れていきたいですね。
認知症予防の飲み物
食事以外でも、気軽に摂取できる認知症予防の飲み物があります。皆様にも身近なコーヒーや緑茶に多く含まれるカフェインや抗酸化物質は認知症予防に効果的ですので、1日に2~3杯程度を目安に摂取しましょう。また、地中海食にも登場する赤ワインにも、記憶や学習機能をつかさどる脳の海馬を活性化する効果があるとされており、お酒が好きな方で、その他健康に異常がない方は取り入れてみるのもよいかもしれません。
適度な運動を生活の中に取り入れよう
最近では運動療法が認知症予防に効果があると言われています。運動療法といっても難しい体操や訓練ではなく、ご本人が無理なく楽しみながらできる運動でよいのです。運動をするということは、全身や五感に様々な刺激があります。具体的にどんな効果があって、認知症予防としてより効果がある運動とはどのようなものかをご説明していきます。
体を動かすことで、脳を活性化
適度な運動をすることにより、心肺機能を維持向上させたり、筋力体力を維持することに繋がり、生活習慣病の予防や生活の質を保つことができます。また、認知症を引き起こす要因として、ストレスも大きく影響してきます。運動をすることにより、ストレス発散やリフレッシュにでき、気分を前向きにしてくれます。毎日散歩を日課にしたり、地域の方とグランドゴルフを楽しんだり、自宅で簡単なストレッチや筋力トレーニングを取り入れてみましょう。散歩などの有酸素運動では全身の酸素のめぐりや血流をよくし、体を動かすという判断やその場の空気感や刺激を取り込み、処理することにより、脳を活性化させるのです。
ながら運動を取り入れる
認知症予防により効果的な運動を取り入れたい方は、『ながら運動』というものに挑戦してみましょう。ながら運動というのは、二重課題とも言われ、例えばウォーキングをしながら計算やしりとりをしてみたり、グランドゴルフをしながら打数を自分の頭の中で覚えるといったもので、頭と体、両方を使うことでより脳を活性化させます。これは、運動だけではなく、日常生活の様々な場面で取り入れることができます。誰かとお話しながら料理を作る、電話をしながらメモをとる、歌を歌いながら編み物をする、など、ご本人の日常の中にながら運動を取り入れてみるのも良いでしょう。
生活の中に生きがいや役割を持とう
会社を定年退職した後や子どもたちが皆自立して巣立っていった後、今まであった役割がなくなるとぼんやりと一日を過ごす日々が増え、認知症を発症するというケースも少なくはありません。生活の中に、ちょっとした趣味や生きがいと思えるものを持つことはいくつになっても、障害や病気を抱えてもとても大切です。手芸が好きな方は、手芸を日課として、作品を誰かにプレゼントしたり、将棋倶楽部に通ったり、地域の子どもたちの見守り隊をしたり、椅子に座りながらできる洗濯物畳みを頼んでみたり。作業することや人と関わることで脳が活性化されると同時に、誰かの役に立っているということは自己肯定感に繋がり、高齢者や認知症の方の抑うつ傾向を防ぐことにもなります。
周囲とのコミュニケーションも大切
誰かとコミュニケーションをとるという事は、様々な刺激や影響を与え、認知症予防だけではなく、認知症になってからの生活にもとても助けになってくれるはずです。周囲とコミュニケーションをとることがどのような効果をもたらすのか、また、コミュニケーションを生むことができるネイルケアについてをご説明していきます。
コミュニケーションは脳を活性化させる
人とコミュニケーションをとるということは、まず自分の身なりを整えることに繋がります。今日はこんな天気だから、肌寒いからこんな服を着ていこうかしら…そんな風に季節や空気を感じるきっかけにもなります。そして、会話をするためには相手の話を聞き、情報を整理し、自分の考えていることを頭の中で整理して話すといった結構複雑な脳の機能を使っているのです。誰かと話しをするだけでも認知症予防の効果は大きいですし、ストレス発散や気分転換にも繋がります。
コミュニケーションは認知症になってからの生活も助ける
そして周囲の方と日ごろからコミュニケーションをとるという事は、もし病気や認知症になった場合にも、大きな助けとなってくれるはずです。一人暮らしの高齢者の方の場合、もし自宅で気分が悪くなり倒れてしまったという時、日頃から周囲の方とコミュニケーションをとっていれば、いち早く気づいてくれる可能性があります。また、認知症を患った場合には、周囲に見守りや声をかけてくれる人がいるということはとても安心です。近所で道がわからなくなった時に、自然と案内してくれたり、状況を理解してくれている方であれば、異変を感じた際にすぐにご家族などにも知らせてくれたりします。元気なうちに周囲の方と良いコミュニケーションを図ることはとても大事になってくるのです。
コミュニケーションを生み出すネイルケア
日本保健福祉ネイリスト協会で行われている『福祉ネイル』では、手と手を合わせながら指先をキレイに彩るネイルを行ったり、ハンドトリートメント(マッサージ)を行います。回想法と呼ばれる認知症の治療にも用いられる会話の手法を用いながら、1対1で会話を大切にし、ネイルを施していきます。女性はいくつになっても女性ですし、病気や障害の有無に関わらず、指先がキレイになるということは、誰しも心躍ることです。福祉ネイルを行ったことでより身なりを気にするようになったり、外にお出かけしたくなったり、誰かに見せて会話を生んだり。そんなコミュニケーションを生み出すことのできるネイルケアもあるんです。
まとめ
平成29年度の高齢者白書によりますと、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるとも言われています。年々平均寿命が延びている今、病気や認知症を予防し、最期までご本人らしく元気に過ごしてもらえるよう、今一度生活の状況をご本人ご家族で考えてみてください。認知症予防はいつ始めても早すぎることはありません。無理なく楽しみながら認知症予防に取り組んでくださいね。