老人ホーム・介護施設 見学時に押さえておきたい重要ポイント

老人ホームや介護施設は入居する方の生活の場になります。これまで住み慣れた家を離れ、人によっては最期の時を過ごす場所になる場合も。加齢や病気により、何かと心配事や手助けが必要な高齢者の方にとって、過ごしやすい施設で予後を過ごすことはとても重要なことです。
老人ホームや介護施設は、施設によってサービス内容や特性、契約内容が異なります。そのため、ホームページやパンフレットだけで決めるのではなく、見学に行くことをおすすめします。
実際に入居してから、「こんなはずではなかった」とご本人・ご家族ともに後悔しないために、老人ホームや介護施設を見学する際に押さえておきたい重要なポイントをご紹介していきます。
老人ホーム・介護施設入居になぜ見学が必要なのか
高齢になり、ご本人またはご家族が老人ホームや施設での生活を決めることも現代では多くなってきました。老人ホームや介護施設は数多く存在し、施設ごとに料金やサービスが異なるだけでなく、環境や雰囲気の相性も重要になってきます。
有料老人ホームの場合、入居一時金といって、始めにまとまった金額を施設に支払う必要がある所も多いです。その他月額料金として生活を送る上で支払う金額もあるため、ある種、終の棲家として自分に合った施設を慎重に選ぶ必要があります。
施設見学時の注意点
見学時にはどのようなことに注意すればよいのか。見学前の準備から当日の行動についての注意点をお伝えしていきます。
事前予約をする
老人ホームや介護施設を見学したい場合には、必ず事前に予約を取ってから行くようにしましょう。アポなしで行ってしまうと、説明をしてくれる担当の方が不在であったり、スタッフの手が足りないなどで、十分な説明を受けられない場合があります。
事前に予約をすることで、自分や施設スタッフ双方にとってしっかりと準備をする時間を設けることができます。予約をする際は、見学する時間帯にも気を配りましょう。昼食時やレクリエーションの時間帯はスタッフも忙しい時間ですが、施設側の了承を得られれば、敢えてその時間帯に行くことで、昼食の内容や忙しい時のスタッフの対応の様子を見ることができます。
施設によっては、実際に試食として昼食をいただけるところもあるため、確認してみましょう。
持ち物
施設見学の際には、下記のものを持っていくとスムーズに見学することができます。
- 施設のパンフレット
- メモ帳
- 筆記用具
- カメラ
- メジャー
メジャーは、もし棚や大き目な家具の持ち込みが可能だった場合、寸法を測る必要があるため持っていくと便利です。その他、必要なものがないか、事前予約の際に施設担当者の方に聞いてみるのも良いでしょう。
注意点
老人ホームや介護施設では、見学時にももちろん入居者の方が生活をしています。見学時には周りの方に配慮しながら、有意義な時間となるように以下のポイントを押さえておきましょう。
- 事前に質問事項をメモしていく
- なるべく2~3人で行く
- 大きな声で話をしない
- 写真を撮る際は確認をとり、入居者の方が写らないようにする
- 入居者の方への会話や衝突に注意する
- 3ヵ所程度見学し、比較検討する
この記事でも紹介するように、施設見学時でチェックしたいポイントはたくさんあります。事前にチェックすべきポイントや質問事項はメモしていくと良いでしょう。また、一人では気がつかないポイントもあるため、2~3人で行くと気になる点など気がつけることが増えます。同じ価格帯・サービスを提供している施設を3ヵ所ほど見学することによって、比較検討ができるため、複数箇所見学に行くこともおすすめです。
また、見学時には入居者の方に十分配慮し、歩行が不安定な方もいるため、急に振り向いたり部屋の出入口などでは衝突に注意しながら移動しましょう。
施設見学時のチェックポイント
では、実際に見学時にチェックしたいポイントをご紹介していきます。目で見て確認できることもあれば、スタッフに確認すべきこともあるので、漏れがないようにチェックポイントを確認した上で見学に臨んでください。
建物・設備
まず第一に、建物や設備などのハード面を確認してみましょう。建物は老朽化していないか、必要な設備は揃っているか、しっかりと清掃・管理されているか。特にチェックしてもらいたい箇所を以下にまとめてみます。
居室
トイレや洗面台、付属の収納、緊急通報装置など、安全面に配慮しながらも快適に過ごせる環境かをチェックしましょう。
廊下
十分な廊下幅が確保されていて、掃除が行き届いているかをチェックすることで、施設側の安全管理やサービスの質をみることもできます。入居者が多い場合、廊下に机や椅子が置いてあるところもあります。歩行時に衝突や転倒の危険性はないか確認することが大切です。
共有スペース
共有スペースでは入居者同士が交流したり、食事を摂る重要な場所です。季節を感じられる作品の掲示や交流が生まれる配置の工夫がされているか、共有スペースを見ると施設の特色を垣間見ることができると言えるでしょう。
入浴設備
加齢や病気によって、入浴が徐々に難しくなる場合も少なくはありません。通常のお風呂から、機械浴といって、座ったまま・寝たまま入浴することができる設備が整っているかなども、今後を見据えて必要となってきます。
入居者・スタッフの雰囲気
施設見学時には、特に見ていただきたい点として入居者やスタッフの雰囲気が挙げられます。ホームページやパンフレットだけではわからない、施設生活のリアルを見ることが、一番の判断材料となり得るからです。
入居者の雰囲気
入居者の方の表情や活動している様子、交流が生まれているかなど、実際に入居している方を見ると自分もしくは大切な家族がこの施設を利用するイメージが湧くでしょう。
スタッフの雰囲気
スタッフ一人ひとりが挨拶や声かけがしっかりとできているかも大事なポイントです。入居者の方への声かけは敬語を使えているか、優しくできているか。特に忙しい時間帯の時に見学に行くと、日頃のスタッフの様子も見られるので、チェックしやすいでしょう。
サービス内容
施設を選ぶ要となるのがやはりサービス内容です。これに関しては、見学の際に見られる点とパンフレットなどからの事前情報に加え、気になる点はスタッフの方に質問することが必要です。大事なポイントなので、しっかりと聞きたいポイントを準備していきましょう。
スタッフの人員配置
健康型や住宅型の老人ホームには専門職の人員配置の基準は設けられていません。ただし、介護付き有料老人ホームの場合、要介護者に対しては利用者3人に対して1人以上、要支援者に対しては利用者10人につき1名以上、介護職員もしくは看護職員を配置することが義務付けられています。
もちろん、スタッフが多いほどサービスが手厚くなっているケースが多いため、働いているスタッフが何名いるか、また、どんな職種が働いているかを訊ねてみることも良いでしょう。
健康管理体制
高齢者の方にとって、施設で健康管理がどのようにされているか、もし病気になったり持病が悪化した場合の対応なども気になるところです。
看護師が施設に常駐しているか、緊急時医師や医療機関との連携はどうなっているか、「24時間対応」と書かれている場合にはその対応内容についても確認してみましょう。認知症などで服薬管理が一人では難しい場合には、サポートを受けられるかなども重要なポイントです。
介護サービスの有無
老人ホームの場合、介護付きや住宅型など、提供している介護サービスの有無や種類も異なります。公的な特別養護老人ホームや介護老人保健施設は比較的介護度が高い方向けの施設で、生活面での介護が受けられます。民間の老人ホームの場合は、日常生活が自立している方向けに生活支援や見守りサービスのみが受けられる住宅型・健康型有料老人ホームと24時間施設内で介護が受けられる介護付き有料老人ホームなどでは受けられる介護サービス内容が変わってきます。
施設内でどこまでの支援や介護が受けられるか、また、外部のサービスをどこまで利用して良いかなど、見学時に質問してみましょう。
ケア体制
有料老人ホームでは、主に「ユニットケア」「フロア分けケア」「混在型ケア」の3種類のケア体制のいずれかのケア体制をとっています。また、認知症の方を専門にケアできる体制を整えている施設もあるため、それぞれについて詳しく解説していきます。
- ユニットケア
入居者の方を身体状況や介護度別に10名程度の少人数で分け、ユニットとして職員が対応するケア体制です。少人数制で同じスタッフが対応することが多くなり、入居者の方の状態をより細かく把握することができるのが特徴です。
- フロア分けケア
ユニットケアよりも少し規模は大きく、各回のフロア別に各担当職員を配置しながらケアを行う場合のことを指します。ユニットケアよりも入居者の方の状態把握は広くなりますが、入居者側にとっても、スタッフ側にとっても、いろんな人と交流できるというメリットもあります。
- 混在型ケア
介護度や状態によって入居者を区分けしない場合を混在型ケアと呼びます。職員数が少なくても対応できるのが特徴で、比較的利用料金も価格が抑えられることが多いです。入居者の数があまり多くない施設で採用されていることも多く、スタッフ全員が入居者の状態を把握しているという安心感があるとも言えます。
- 認知症ケア
ケアの体制として、認知症専門のケアを行っている施設もあります。認知症の方への対応をしっかり学んでいるスタッフが配置されていることが多く、介助方法や環境設定を認知症の方でもできる限り安全に過ごせるような工夫がされるため、認知症の方を任せる場合には認知症ケアを取り入れている施設を選ぶことをおすすめします。
リハビリの有無
老人ホームの場合、リハビリを行う専門職を配置する法的な配置基準はありません。しかし、介護予防や自立支援サービスとして理学療法士や作業療法士などがリハビリを行ってくれる施設も少なくはありません。
どのような内容をどのくらいの頻度で行ってくれるのか、また、機能訓練ができる器具などはあるのかを施設見学時に把握してみてください。
契約関係
施設見学時に、施設・設備などのハード面やサービス内容とともにぜひ確認してもらいたいのが契約関係です。長期的に入居する上で、契約内容がどうなっているかとても重要になってきます。特に確認してもらいたい契約関係のポイントを下記に記します。
入居要件、退去要件
施設ごとで入居できる条件が異なる場合が多いです。特に介護度の低い方を対象とした民間の有料老人ホームの場合には、対応できない状態では入居を断られる、または退去を求められることもあるため、事前に状態を伝えた上で、要件を確認しておきましょう。特に確認すべき事項は以下のものです。
- 要介護度
- 持病や病歴
- 認知症の有無
- 必要な医療ケア
終身利用契約の場合でも、入居後状態の悪化により施設内での対応ができないとなった場合には、退去を求められることもあるため、事前に納得のいくまで確認するようにしましょう。
費用について
老人ホームや介護施設に入居するとなった場合、入居一時金や月額利用料金などが発生します。しかし、実際には、その他にも医療費やレクリエーション費、必要な日用品費などが別途発生する場合があります。
費用に関して、月額料金の内容や別途発生する費用について見学時に確認をしてみてください。
保証人の責任範囲
有料老人ホームに入居する際、ほとんどの場合に連帯保証人が必要になります。一般的には、施設利用料を払えなくなった場合や緊急の連絡先、死亡した場合の身元引受人としての責任を課せられることが多いです。内容を詳しく確認し、近くに住む人がなった方がいいのか、直系の親族がなるのか、入居前に親族で話し合っておく必要がありそうです。
その人に合った安心できる施設入居をするために
年を重ねてから暮らす第二の場所として、老人ホームや施設選びはとても重要です。施設によって、サービス内容や雰囲気も異なるので、施設入居を検討した際は、ご本人・ご家族で、ぜひ施設見学に行ってみてください。
近年では、施設入所しながら、外部のサービスを積極的に取り入れたり、施設生活に彩りを取り入れるために福祉ネイルという出張ネイルケアサービスを取り入れている施設も増えてきました。
ネイルやお洒落が好きな方や、日常に癒しを取り入れたい方は、ぜひ施設見学とともに福祉ネイリストの出張サービスも検討してみてくださいね。
福祉ネイルに関してはこちらをご覧ください。