介護で心がけていることは何?より良い介護のためにできるポイントも紹介!
介護の質は、技術や知識と同様に大切な要素として、「心がけていること」で大きく変わります。
というのも、生活の介助だけでなくメンタルケアやおもてなしの心をもったサービスが行えれば、利用者様との信頼関係が深まり、より質の高いサービスを提供することに繋がるからです。
そこで本記事では、より良い介護をするためにどのようなことを心がけているのか、実際の業務で心がけるべきポイントなどを紹介します。
「心がけていること」が一つでも増えるだけで、今よりも利用者様のためになるはずなので、是非参考にしてください。
目次
そもそも介護職に求められる能力とは?
そもそも介護職とは、デイサービスや入居施設、訪問介護などを利用する高齢者の方が「その人がこれまでに過ごしてきた、その人らしい暮らし」を続けるために、様々な形で支援をする職業です。
求められる能力としては、介護の技術や知識だけではありません。利用者様やご家族の方、他の職員の方と関わりながら仕事を進めるので、コミュニケーション力が必要不可欠です。
また、介護サービスを受ける高齢者の方は、身体機能や認知機能の低下による不安、大切な人との別れからくる喪失感・孤独感などを抱いていることが多く、そういった利用者様の気持ちを理解しながら接する能力も求められます。
そして、意思疎通が難しい利用者様であっても、本人の尊厳や人権を無視するようなことは絶対にあってはなりません。倫理的な考えや判断を持ち続けることは、介護職員にとって最も必要なことだと言えるでしょう。
このことを踏まえれば、「介護のために心がけていること」がいかに大切なことかが分かるはずです。
質の高い介護のために心がけていること
高齢者の方の生活が現状よりも、安心感や輝きのあるものにするためには、職員の方の「心がけ」が必要不可欠です。ここでは具体的にどのようなことを心がけると質の高いサービスが提供できるか紹介します。
心がけていること1:高齢者に寄り添い尊重する
質の良い介護サービスを提供する職員の方は、「その人らしい暮らし」を守るために、高齢者の方一人ひとりの考えや気持ち、希望に寄り添い尊重するよう心がけています。
とはいえ、気持ちに寄り添うことはすぐにできるものではありません。とくに利用者様の中には意思疎通、意思表示が困難な方もおり、「相手の気持ちが分からない」というケースも多々あるのです。
そこためまずは、利用者様のことを深く知るところから始めましょう。
具体的には、自立度や病歴、介護サービスを利用するようになった背景、価値観などを一人ずつ把握して、それぞれが抱えている不安や悩みを考えることです。すると、相手が求める言動が見えてくるだけでなく、それ以上のサービスを提供することができるかもしれません。
このように、一人ひとりの利用者様を理解し、それぞれを支援するよう心がけることは、技術や知識と同等に、非常に大切な要素であることを覚えておきましょう。
心がけていること2:高齢者の気持ち・立場になって考える
利用者様の介助中、どこまで支援すべきか悩むことがあると思います。そんな時は、自分がその利用者様の立場だったら、どうしてほしいか、何をされたら嫌かなどを考えてみましょう。
例えば、脚の筋力が弱まってきた利用者様が椅子から立ち上がる時、介助なしでも大丈夫なのに職員が身体を支えたとします。しかし、その利用者様は本当は自分一人で立ち上がりたかったのかもしれません。
この時に、「自分だったら支援してほしくない、じゃあ◯◯さんはどうだろう?」と考えることができれば、転倒しそうになってもすぐに支援できる距離で見守るという選択が取れたでしょう。
また、例からも分かるように、相手の立場を考えずに職員主体で動いてしまうと、利用者様のできることを奪ってしまう可能性があります。つまり、支援しているつもりが、「本人らしい生活」からどんどん遠ざけてしまうことになるのです。
このように、一方的な支援にならないよう、自分ならどうだろう?と考える癖をつけるようにしてください。
心がけていること3:観察力や洞察力を磨く
介護において、観察力や洞察力は非常に重要な役割を持ちます。具体的には、利用者様の顔色や様子を日頃からしっかりと観察することで、ちょっとした体調の変化にも敏感に気づくことができます。
また、うまく意図や感情を表現できない方の訴えに気づくことができるようにもなるでしょう。すると、より良い介助ができたり、事故やトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。
このように、「何かが変だ」「いつもと様子が違う」といった違和感に気がつくためには、日頃からよく利用者様の顔や表情、目線などを観察しておくことがポイントです。
そして、変化に気づくことができれば、その原因を考えて対処法を見つけることができます。たとえ知識不足で良い解決策が見つからなかったとしても、ベテランの職員の方や上司にすぐに報告すれば問題ありません。
大切なことは、気付きを増やして、その度に原因と対策を考えて、より些細な変化にも気付けるようになることです。
介助中に心がけていること・心がけるべきポイント
ここからは、介護の現場で職員の方が心がけていること・心がけるべきポイントを紹介します。実際の業務に取り入れやすい内容なので、より良い介護サービスのためにも確認しましょう。
介助中の心がけポイント1:介助前の声かけを徹底する
利用者様を介助する際は、必ず事前の声掛けを徹底しましょう。これからすること、なぜするのかをきちんと説明し、本人の意思確認が取れてから行動に移します。
というのも、十分な説明もなしに身体を動かされると、驚いてしまったり、変に力が入って怪我をしてしまう可能性もあるからです。
ここで、ベッドから起き上がってもらうときの声かけ例を簡単に紹介しましょう。
例:これからお食事に行くので、起き上がってベッドに腰掛けていただいていいですか?そのためには、まず、起き上がりやすいように体の向きを変えますね。
これは一例なのでシンプルな表現ですが、実際はもっと細かい動きを利用者様に伝え、安心して行動に移してもらうようにします。
このように、介護施設の利用者様は、高齢で耳が聞こえにくかったり、認知機能の低下で自分が今置かれている状況の把握が困難な方もいるので、必ず声をかけて「いまから自分がすること」を理解してもらうよう心がけてください。
介助中の心がけポイント2:全てを介助しないようにする
介助をする際は、できないところだけを支えるようにしてみましょう。なんでもしてあげたくなる気持ちも分かりますが、それだと利用者様のためにはなりません。
例えば、本当は自分で立ち上がれるのにいつも手伝っていると、早いスピードで介助なしでは立てなくなってしまう体になるでしょう。そうなると利用者様の「できること」を奪う結果になり、さらには介助も多くなってしまいます。
そのため、なるべく時間がかかっても自分でできることは自力でやってもらうことが大切です。
「できないところだけ手を差し伸べる」ということを心がければ、長い目で見て利用者様にとっても良い結果に繋がるでしょう。
介助中の心がけポイント3:周囲の環境に注意を配る
介護現場では、些細なことでも利用者様の怪我や事故につながる恐れがあります。そのリスクを減らすためにも、施設内の環境をよく見て危険がないか確認しましょう。
例えば、歩行が不安定な方が共有スペースを歩いている際、躓きそうなものや床が濡れていないかをしっかり確認します。洗面台やお風呂場の近くだと、滑りやすいので注意を払いますが、場所に関係なく利用者様が過ごすスペースは、周囲に転倒リスクがないか気をつけるべきです。
また、物理的なリスクの確認以外にも、一緒に働く職員の方の様子や動きにもしっかりと目を向けましょう。そうすると、いつもより体調が優れない職員に気付いたり、緊急で忙しい時でも適切な人員の配置ができるなど、円滑に業務を進めるために役立ちます。
このように、介護現場の事故やトラブルを未然に防ぐためには、何が危険で何が必要かを咄嗟に判断できるよう、常に周囲の状況に注意を払うことを心がけるようにしてください。
介護では高齢者が本人らしく過ごせるよう心がけることが大切!
介護の仕事は、高齢者の方の安全や健康維持はもちろん、本人らしい生活を送るための支援を行うものです。そのため、「高齢者の方の尊厳を守り、安心して過ごしてもらう」ということを心がけて日々の業務に取り組みましょう。
私たち日本保健福祉ネイリスト協会では、2012年の活動開始以来、福祉ネイルという美容を通じて、高齢者の方が輝きある日々を送れるようサポートしてきました。
ネイルを利用者様に提供する際に心がけていることは、傾聴の姿勢やご利用者様の自己選択の機会を大切にすることです。
例えば、どのメニュー(ネイルケアやネイルカラーなど)にするか、色やアートはどうするのかを、自分自身で選んでもらうのですが、主役は常にご利用者様であるという意識を忘れたことはありません。
また、中には全てをご自身で決められないご利用者様もいらっしゃいます。その際は、ご利用者様に寄り添い一緒に考え、施術を進めるよう心がけることで、コミュニケーションが深まるのではと考えております。
福祉ネイルでもっと多くの高齢者の方の笑顔が増えるよう、福祉ネイリストの育成や福祉ネイルの研究集会にも力を入れておりますので、「施設に美容サービスを導入したい」とお考えの際は、ぜひ日本保健福祉ネイリスト協会にご相談ください。
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