訪問美容×福祉ネイルで月収16万!秘訣は営業代行と粘り腰

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日本保健福祉ネイリスト協会では、2020年9月時点で、全国に950名を超える福祉ネイリストを輩出しています。そして、今回は美容師でありながらリンパマッサージやネイルも提供でき、勤務する美容室で自ら『訪問美容事業部』を立ち上げて、新しい営業の形で福祉ネイルを提供されている高岡加奈子さんにインタビューさせていただいて、普段の活動やこれからの挑戦をお伺いしました。

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プロフィール

高岡 加奈子(たかおか かなこ)

東京都杉並区在住。元々美容師として働いており、2016年4月に福祉ネイリストの資格を取得。日本保健福祉ネイリスト協会の東京都自由が丘認定校所属。主な活動地域は東京都杉並区、中野区、世田谷区、板橋区など。

 

 

美容室で『訪問美容事業部』を立ち上げる


高岡さんは福祉ネイリストの資格を取得する前は、どんなお仕事をされていたのですか?

元々美容師で、今も美容師として働いています。5年前に勤務している美容室で訪問美容事業部を立ち上げたのですが、その中のメニューで高齢者の方向けにネイルもさせていただきたいと思い、福祉ネイリストの資格を取りました。

なぜ訪問美容にネイルも必要だと感じたのですか?

若い人の中でネイルは日常の美容の中に当たり前に取り入れられている中で、高齢になるにつれてネイルサロンや美容室には足が遠のいてしまったり、初めてネイルをするという方も多いと思うので、施設にいる方にもネイルをしたら、カットをして嬉しそうに鏡を見るように、ネイルをして指先を見て喜んでいただけると思い、ネイルは日常の美容として年齢関係なく必ずメニューに必要だと思っていたんです。

現在はどのような形で訪問美容をされているのでしょうか。

私の場合は美容師としての仕事が中心で、ヘアカットやカラーパーマと、他にもリンパマッサージの資格も持っているので、そちらのメニューと、そこに福祉ネイルのメニューもありまして、ご利用者様に様々なメニューから一つのメニューもしくは様々なメニューから必要なものや興味のあるものを選んで頂き申込書に記入して頂いて、施術させていただいております。

 

福祉ネイリストとしての活動

現在は新型コロナウイルス感染症の影響で訪問美容のお仕事はどうですか?

契約していただいている施設様やデイサービスは、ほとんど新型コロナウイルス感染症が落ち着くまで一旦訪問中止となっています。自宅で介護されていらっしゃる方は、ご家族様からお申込みがありますので、ほとんど変わらず訪問できています。施設様でも、中にはどうしてもネイルをしてほしいという方もいらっしゃるので、その場合はご本人様かご家族様に同意書を頂く形で、行かせて頂く場合もありますが、なかなかこの状況ではこちらの判断としても難しいところではありました。

新型コロナウイルス感染症流行前はどのくらい訪問されていたのですか?

毎週月曜日と木曜日の週2回、月8回は訪問美容の日としてやらせていただいているので、その日は丸一日をかけて2~3件を回らせて頂いています。月にすると10~12件訪問させて頂いていました。

どういった所に訪問されるんでしょうか?

対象は高齢者の方で、入所型の介護施設や通所系、あとは在宅で介護されている方にも訪問させていただいております。

お一人で訪問されるのですか?

在宅の場合や、小規模デイサービスの場合は一人で訪問させていただいておりますが、その他比較的人数の多い施設では、2~3人で訪問させていただいています。その中には、同じ福祉ネイリストもいますし、美容師やエステティシャンもいます。

 

福祉ネイリストになってわずか2~3ヶ月で平均月収11~12万円

福祉ネイリストとしての平均月収はどのくらいですか?

私はネイルだけではなく、ヘアメニューやリンパマッサージなどもやっておりますので、ご要望が入るメニューによって収入の割合はまちまちですが、福祉ネイリストだけですと、大体月に11~12万円くらいですかね。福祉ネイリストとして活動し始めた時は、営業や施術にかなり力を入れておりましたので、月16万円くらいは得ていました。

そのくらいの収入が得られるまで、どのくらいかかりましたか?

福祉ネイリストの資格を取得して2~3ヶ月だったかと思います。

資格を取られて、比較的すぐに福祉ネイリストとして収入を得てきたのですね!

そうですね。始めは営業というよりも、自分の勤務する美容室で福祉ネイリストの資格を取ったということを伝えて、そこでお客様が周りのお知り合いの方やおばあちゃんたちを呼んでくださって、ネイルを施術させていただいたりとか、近くの公園とか区民センターなどでもやらせていただいていました。

入り口から、ボランティアや数百円で出来るような色をつけるだけのネイルではなく、自身の爪に関心を持つことでオシャレすることや、爪のケアに意識が向いたり、認知症予防になったり、高齢者の方に定期的に必要な美容としてネイルをするために、料金を頂くことにこだわりました。

福祉ネイリストとしてどういう形が高齢者の方に興味を持ってもらえるか、どんな反応をしてくださるかなとか、いろんな方に施術させていただけば自分の課題も見つかるかなと思い、最初はたくさん経験を積ませて頂きました。

それからどのように営業活動を行ってきたのですか?

福祉ネイリストになって始めの1年くらいは自分でひたすら施設様に足を運ばせていただいて、お話をさせていただきました。ですが、本当にそれが大変でしたし、時間もかかってしまうので、3年前くらいからは、外部の『営業代行』を依頼しまして、女性の営業専門でお仕事をされている方に電話営業をしていただいていました。

『営業代行』を使うというのは、なるほど!現在もその『営業代行』を利用されているのですか?

今は営業代行が3ヶ月契約とさせていただいておりますので、施設の契約がとれましたら一旦『営業代行』の契約は切って、また訪問先として新しい施設を増やしたい時に依頼させていただいています。ただ、こちらの『営業代行』は電話をして施設様にお話を聞いていただくアポをとるところまでがお仕事ですので、そこからは私と営業代行さんで一緒に施設様を訪問させていただき、契約につながるようなお話をさせていただいております。

 

印象的な出来事

今まで福祉ネイリストとして活動されてきて、印象的だった出来事はありましたか?

そうですね。私は元々、亡くなりになった方のメイクをしたいと思い、美容師を始めたんです。

訪問美容を始めてから、ご家族からのご依頼でご自宅に呼んでいただき、看取りに入っていらっしゃる方に施術させて頂く機会が多々ありました。病気や体の状態が苦しくて、もう出かけることは難しい、何も食べられないとか、楽しみをもつことができない、そういう方が、「キレイに死にたい」と度々言って、寝たきりの状態で髪の毛をシャンプーして、爪に色を塗って、「今日一日生きていてよかった」と言って、喜ばれます。

どれだけ体が辛くても美容はやりたいという方にできる限りのことをさせて頂く、そういう時に一番やりがいを感じています。

そこから、亡くなった方にもメイクをさせて頂いて、メイクだけではなくネイルもさせて頂き、実際にそういう風に見送らせていただいた方が、今まで何十人もいます。最期の時に美容ができることは、その方の支えになり、そういう方にこそ必要だと思っています。

福祉ネイリストとしてこれからの挑戦

今後取り組みたいことはありますか?

私はサロンに行けなくなった高齢者の方でも、美容師やネイリストを呼ぶという『出張美容』が当たり前になっていくよう広めていきたいと思っています。その先には介護もできる福祉美容師(福祉ネイリスト)が必要になってくると思います。

今は福祉ネイルを含めた『福祉美容』を広めるために、営業活動等も一生懸命やらせていただいておりますが、これから先、施設様や在宅で介護しているご家族の方から出前を頼む感覚で「美容お願い」と要望を頂けるような仕組みにしたいですね。そのために、なるべく地域や区のイベントや講演会に参加し、『福祉美容』を広めていく活動をしていきたいと思います。

そういった地域や区のイベントや講習会に参加する機会は今までにもあったのですか?

はい、ありました。

今までは『福祉美容』に関して講習会を開いてほしいとのご依頼を介護事業所の方やヘルパー事業所の方から頂くことも多かったのですが、私自身自信もなく、未熟でしたので、まだ早いと思ってお断りしていたのです。しかし、今こんな状況でおばあちゃんたちにも会えなくなり、これからはいただけるお仕事は全部私の使命だと思って、そういうご依頼が来ましたら施設長さんや介護スタッフさんたちの前で福祉ネイル・『福祉美容』の必要性や導入する仕組みを知って頂けるように伝えていきたいと思っています。

少し動き出した今は、介護事業者様と一緒にイベントや講習会をする話にも繋がっています。今後はもっと介護業界と美容業界の繋がりをもっと作っていきたいです。

 

どんな方に福祉ネイリストになってほしいか

これからどういった方に福祉ネイリストを目指してほしいですか?

福祉ネイリストもそうなのですけれど、『福祉美容』をやられる方も、皆さん優しい方が多いと思います。言葉に出さなくても想いを気づいてくださる方が多いので、自分で意思をなかなか伝えられない高齢者にも気づきを持てる人は福祉に向いていると思います。子育て中の方とか人のために何かをしたいという方とか、意外とやりたいことが見つからないという方にも向いているかもしれませんね。そういった方に一緒に福祉ネイリストになって、お仕事が楽しいとかやりがいがあるなとかもっとこうしてあげたいなとか感じていただきたいですね。

 

全国の福祉ネイリストに伝えたいこと

現在同じく東京都自由が丘認定校卒業の福祉ネイリストの方とかとの交流はあったりしますか?

認定校で行っている勉強会などは、施設訪問や美容室の予定が埋まっていてなかなか参加できていないのですが、個人的に認定校講師の寺木さんと定期的に会わせて頂いていますし、他の福祉ネイリストの方とも食事に行ったときに熱い想いを語り合ったりしています。

周りにそういった同志がいるというのは心強いですね。

大きな存在ですね。久しぶりに会っても昨日会ったかのように話し込んで、みなさんが頑張っているのを聞くと、もっと私も頑張ろう!とやる気がより出てきます。一緒に活動をしているわけではなくても、同じ目標や想いをもって活動をしている仲間がいるということは本当にありがたいですし、気持ちが落ち込んでしまった時も、高ぶった時も、何でもないときも、仲間がいるだけで本当に頑張ることができ、何気ない一言を言ってもらえるだけも力になると思います。

全国に福祉ネイリストが増えてきている中で、営業活動で苦戦している方や活動を続けることが難しいと感じている方もいらっしゃると思いますが、他の福祉ネイリストの方々に伝えたいことはありますか?

私も営業を始めてから、本当は人と話すことが好きだったはずなのに、それが辛くなることもあったので、気持ちもわかりますが、営業というのはそういうものであると割り切ることも大事だと思います。〝ダメ元″と思いながらも、福祉ネイルの営業に関しては、本当に必要性を分かってくださる人は必ずいるので、宝探しだと思って、必ず宝の見つかる宝探しだと思うので、諦めずに続けてほしいと思います。福祉ネイルの必要性をわかっていただける施設様が一件でも見つかれば、絶対やっててよかったと思えるので、とりあえず一件見つかるまでは諦めないでと思います。

 

まとめ

新しい営業の形で福祉ネイルを含めた『福祉美容』を広めていっている高岡さん。美容の分野で多彩な技術を持ち合わせている高岡さんの志は真っすぐ目標に向かって確実に進まれていました。元々美容を始めたきっかけと繋がる「亡くなった方のメイクや在宅で看取りに入っている方など、美容で喜びや生きていてよかったと感じてもらいたい」という気持ちはずっと変わることがなく、これからもたくさんの利用者様やご家族に高岡さんだからこそできる『福祉美容』を届けていくのだと思います。

髙橋 慶香(たかはし ちか)

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おじいちゃんおばあちゃんが大好きな作業療法士×福祉ネイリスト。その他、医療福祉系を中心としたWEBライターとしても活動中。モットーは「心が動けば体も動く」。

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