認知症予防に運動が効果的!おすすめの運動を4つご紹介!

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日本において、2025年には高齢者の約5人に1人が認知症を発症すると言われています。認知症の早期発見や、薬物療法・非薬物療法などの治療法が進められていく中、運動をすることで、認知症の発症や進行予防に効果があるという研究も多く報告されているのです。

そこで今回は、認知症の方にとって運動がどのような効果をもたらすのかを解説し、予防や進行を遅らせることが期待されるおすすめの運動をご紹介していきます。

 

認知症とは

認知症と運動の関係性を知る上で、まずは認知症について詳しく理解してみましょう。

認知症とは、何らかの病気や障害などの原因により、記憶や判断するといった認知機能が低下し、生活全般に支障をきたしている状態をいいます。

認知症の種類によって、原因や症状、経過はさまざまですが、原因疾患が治療・完治できる場合を除き、発症すると完治は難しいとされています。そのため、予防や早期発見・早期治療によって認知症症状の進行を遅らせることがとても重要です。

認知症の種類

認知症の種類は主に4つに分かれます。それぞれを詳しく見ていきましょう。

アルツハイマー型認知症

認知症の中で一番多くの割合を占めているのがアルツハイマー型認知症です。物忘れ症状から発症することが多く、年齢とともにゆっくりと進行していきます。

脳血管性認知症

アルツハイマー型認知症に次いで多いのが、脳血管性認知症です。脳梗塞や脳出血などを発症することにより、脳の一部が障害され、認知症を発症します。一部の認知機能は保たれていたり、突然症状が悪化する、一日のうちで症状のムラがあるため「まだら認知症」とも呼ばれています。症状は階段状に悪化していくこともあれば、ゆっくり進行していく場合もあります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、記憶障害に加え、幻視、手足の震え、動作緩慢によって転びやすくなるといったパーキンソン症状が見られるのが特徴です。初期症状としては、認知機能の低下が目立たず、他の病気と間違われてしまうことも少なくはありません。また、症状には波があり、他の認知症に比べて進行が速いと言えます。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉が委縮することで感情の抑制ができなかったり、社会性が欠如する、言葉が出にくくなる症状が特徴です。また同じことを繰り返し行ってしまう常同行動もみられます。一方で記憶障害は主症状でない場合が多く、認知症の診断が遅れてしまうことがあります。比較的若年例で発症し、症状進行とともに活動量が低下していき、寝たきりになる可能性が高いとも言われています。

アルツハイマー型認知症発症のメカニズム

認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症では、脳内の神経細胞が減少し、脳が徐々に委縮していくことが特徴です。

その原因としては、アミロイドβタウタンパクというタンパク質が脳に異常に溜まり、溜まったたんぱく質が、脳神経の変性を引き起こすためと言われています。特に記憶に関わる海馬という器官から萎縮が始まり、脳全体へと広がっていきます。

しかしながら、それらのたんぱく質が脳内に蓄積される原因は十分に解明されていません。

認知症発症のリスク

認知症発症の原因が十分に解明されていない中でも、さまざまな認知症の種類において、認知症発症のリスクとなり得る要因はわかってきています。下記に主な認知症発症のリスクを挙げます。

【認知症発症のリスク要因】

  • 加齢
  • 遺伝性
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 喫煙
  • 頭部外傷
  • 難聴

これらの要因は、運動や食事、社会参加などの生活習慣が認知症発症リスクと大きく関わっているとも言えます。近年の研究では、生活習慣を改善することで、認知症発症のリスクを減少させることができるとも報告されています。

 

認知症に対する運動の効果

認知症には予防や進行を遅らせることが重要とされていますが、運動を行うことでの効果も多く示されています。認知症運動にはどんな関係があるのか、詳しく解説していきましょう。

運動する高齢者は認知症発症リスクが低い傾向

認知症発症のリスクをご紹介したように、運動をしないということは高血圧や肥満、糖尿病といった認知症の発症因子を増加させることに繋がります。

2001年に海外で行われた研究によると、運動量の少ないグループよりも、運動量の多いグループでは、認知症発症のリスクがかなり低かったという結果が示されています。また、運動することで、認知症発症の原因となるアミロイドβが脳内から排出されやすく、タウタンパクの発生を抑制されることもわかってきています。

運動の効果

では、認知症に対して運動には具体的にどのような効果があるのでしょうか。運動の主な効果について4つご紹介していきます。

脳の活性化

身体と脳は密接に繋がっています。身体を動かすことで、付随して脳への刺激も増加します。また、高齢者や認知症者に見られやすい海馬などでの脳血流の低下についても、運動することで改善が示されているのです。

身体機能の維持・向上

運動をすることで、身体機能や筋力・体力の維持向上を図ることができます。認知症を予防するためには、日常の活動量を維持することも重要です。加齢により、筋力・体力が低下していくと、転倒や骨折のリスクも高くなります。高齢者にとって、長期間の臥床や入院などは認知症を発症するリスクへと繋がります。そういったリスクを軽減するためにも、運動を行うことで、身体機能を維持・向上させることは認知症予防のために重要となります。

生活習慣病の予防

認知症発症のリスクでご紹介したように、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を予防することは、認知症予防にも繋がってきます。運動を習慣化することで、認知症発症のリスクを軽減させることができるのです。

リフレッシュや交流の機会

認知症発症や進行予防において、リフレッシュすることや人との交流の機会はとても重要です。認知症を発症すると、不安や虚無感、孤独感などマイナスな思考になりやすく、うつ症状が見られる場合も少なくはありません。運動を行うことで心身がリフレッシュでき、自然と他者との交流の機会を作ることもできます。

 

認知症に効果的なおすすめな運動4つ

認知症において運動が効果的ということはわかりましたが、どんな運動を行うのが良いのでしょうか。どんな運動でも、無理のない範囲で身体を動かすことは健康維持にも、認知症予防に良いですが、その中でも、より認知症予防に効果的な運動を4つご紹介します。

ウォーキング

日々の日課として取り入れやすいのがウォーキングです。背筋を伸ばしてしっかりと腕を振り、少し大きめの歩幅で歩いてみましょう。

ウォーキングなどの有酸素運動は、全身の血流を良くするため、脳の活性化にも効果的です。さらに、他者と一緒にウォーキングを行うことによって、楽しみや交流の機会にも繋がり、より脳への刺激を増加させることができます。

筋トレやストレッチ

筋トレやストレッチは、加齢と共に衰えやすい身体機能の維持だけでなく、リフレッシュ効果もあります。無理のない範囲で、「ちょっとキツイ」くらいの負荷をかけると効果的です。

毎日運動の時間を確保することが難しい場合には、家事を行いながらや、新聞を読みながらなど、日常生活にちょっとした筋トレやストレッチを取り入れることから始めてみましょう。

デュアルタスク

認知症には、同時に複数の課題をこなすデュアルタスクが効果的と言われています。運動と認知課題を同時に行う場合には、軽く息がはずむ程度で脈拍数が上昇する運動と、簡単に答えられてしまうものではなく、少し考えて答えるような難易度の高いものを同時に行うとより効果的です。

テレビを見ながら料理をする、足踏みをしながらしりとりをするなど、それぞれの負荷量を調整しながら、複数の作業を同時に行ったり、運動と認知課題を組み合わせて脳を活性化していきましょう。

リズム体操

歌やリズムに合わせながら体操を行うことも、認知症にとても効果的です。例えば、数を数えながら足踏みをして、3の倍数のところで手をたたく。「あんたがたどこさ」を歌いながらももをたたき、「さ」のところで両手をたたくなど。

リズム体操は、身体機能に合わせて、スピードや難易度を調整しながら座って行うなどのアレンジがしやすいため、高齢者施設などでも実施しやすい運動の一つです。

 

無理なく楽しんで日常に運動を取り入れましょう

今や認知症予防に運動は欠かせないものとなっています。身体的にも、認知機能面においても、健康で年を重ねていくために、無理なく日常の中に運動を取り入れてみてください。

そして、運動を一緒に楽しめる他者との交流も、生きる上でとても重要な役割を持ちます。少しずつ、自分に合った運動を行ってみてくださいね。

髙橋 慶香(たかはし ちか)

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おじいちゃんおばあちゃんが大好きな作業療法士×福祉ネイリスト。その他、医療福祉系を中心としたWEBライターとしても活動中。モットーは「心が動けば体も動く」。

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