認知症の予防におすすめの手遊び7選!レクリエーションで行う際のポイントも

認知症の予防におすすめの手遊び7選!レクリエーションで行う際のポイントも

認知症の予防に効果的な手遊びは、一人でできるものから誰かと一緒になって行うものなど様々です。また、場所を取らない、大掛かりな準備が不要であることからレクリエーションとして取り入れる介護施設も多くあります。

本記事では、そんな手遊びについて、認知症の方にとって良い理由や、おすすめの手遊びを「体操系」「リズム系」「道具を使う系」に分けて紹介します。

あわせて、手遊びを行う際の押さえておきたいポイントも確認していきましょう。

認知症に手遊びレクリエーションが良い理由

気軽にできるレクリエーションとして手遊びがありますが、どのような理由から認知症に良いと言われているのでしょうか。その理由を詳しく解説します。

脳への刺激になる

手や指先を複雑に動かす手遊びは、脳の活性化に非常に良く、認知症の予防や緩和に効果的です。とくに指先には運動神経や感覚神経など多くの神経が集中しており、「第二の脳」とも呼ばれるほど脳への刺激に関係しています。

そのため、手遊びを認知症や高齢者の方に行ってもらう際は、普段しない指の動かし方を意識したり、指先をよく使う動作を取り入れると、より効果的に脳を活性化させることができるでしょう。そして手遊びをする中で、どの程度の難易度ができるかを観察しておけば、認知症の早期発見に繋がるかもしれません。

また、手遊びは一人でできるものから誰かと一緒にするものまであります。他者と手遊びをすることで自然とコミュニケーションが生まれるため、これも脳への刺激となり、認知症の予防や緩和に効果的だとされています。

気持ちが安定する

手遊びレクリエーションの中には、昔ながらのリズムや歌に合わせて手指を動かすものもあります。そういった手遊びを通して、過去の楽しい記憶が蘇ったり、いきいきしていた頃の自分を思い出す方もいるでしょう。

これは、認知症ケア技法としてよく施設などで使われる「回想法」に似ており、過去を思い出すことで寂しさや不安が薄れ、安心感に繋がるという効果が期待できます。

認知症が進行すると感情をコントロールする脳の働きが低下して、突然大声を出したり怒鳴るなど暴力的になる人もいますが、昔を思い出し懐かしむ気持ちにより、落ち着いて過ごせるようになるケースもあるそうです。

また、「過去を思い出す」という記憶を引き出す行為自体が、脳への良い刺激にもなります。手指を動かす際とはまた違う部分の脳が刺激されるため、認知機能の向上に繋がるでしょう。

幅広い方が参加できる

手遊びは、大きな動きがなく座ったままでもできるため、身体が不自由な方や運動が苦手な方も気軽に参加できます。より多くの方に楽しんで参加してもらえるよう、難易度別にいくつか手遊びのパターンを用意するのが良いでしょう。

また、基本的には手さえあればできるレクリエーションなので、何か大掛かりな道具が必要なわけでも、広い場所で行うわけでもありません。やり方さえ分かっていれば、どこでも簡単にできるというメリットもあります。

認知症の予防におすすめ!手遊びレクリエーション7選

認知症の予防におすすめ!手遊びレクリエーション7選

ここからは、認知症の予防と改善におすすめの手遊びを、体操系・リズム系・道具系に分けて全部で7つ紹介します。

指体操の手遊びレクリエーション3つ

手遊びレクリエーションの中でも基本的なものが指体操です。後ほど紹介するリズム系と道具系を行う前の準備体操として取り入れても良いでしょう。

指回し体操

指回し体操は、最もポピュラーな手遊びレクリエーションのひとつ。両手を使って行います。

【遊び方】

両手の指先を合わせます。この時、指先以外は触れないようにして、手全体の形はドーム状の円にしてください。

続いて親指だけを離し、親指同士が触れないように前後に回します。まずは手前方向に10回クルクル、続いて反対方向にクルクル回します。

これを「親指→人差し指→…小指」の順で行いましょう。指を回すときは、ドーム状にした手の形が崩れないように意識することがポイントです。

親指グーパー体操

親指グーパー体操は、グーをする際に親指を内側に入れる・外側に出す動きを繰り返すトレーニングです。両手で行いましょう。

【遊び方】

親指を内側に入れてグーにしたらパーに戻します。続いて親指を外側にしてグーにし、またパーに戻します。

慣れないうちは、両手とも「内側グー→パー→外側グー→パー」と同じ動きでトレーニングしましょう。

慣れてきたら、「右手の親指が内側グーの時、左手は外側グー」というように左右の形を入れ替えて行うのもおすすめです。さらに高い脳トレ効果が期待できます。

後出しじゃんけん体操

後出しじゃんけん体操は、後から負ける手を出すことで脳を鍛えるトレーニングです。ペアで行うためコミュニケーションの促進にも役立ちます。

【遊び方】

ペアの相手がグー・チョキ・パーのいずれかを出した後、1テンポ遅れてわざと負ける手を出します。

慣れてきたら両手で後出しじゃんけんをするのもおすすめです。先に出す側も両手でグー・チョキ・パーが被らないように意識し、後から出す側も判断が2倍になるので、両者にとって脳への良い刺激になるでしょう。

また、後出しじゃんけんは1人でもでき、片手を先に出し、もう片方を後出しで負ける手を出すようにします。左右で交互に先に出すか後に出すかを変えれば、より高い脳トレ効果が期待できるはずです。

リズムを楽しむ手遊びレクリエーション2つ

リズムを楽しむ手遊びでは、昔ながらの歌に合わせて手を動かすものが多く、懐かしい気持ちで楽しめます。

むすんでひらいて

むすんでひらいては、「むすんでひらいて」の曲に合わせて手や腕を動かすリズム遊びです。

【遊び方】

歌のリズムに合わせながら、歌詞にある動きと同じポーズを取りましょう。

例えば、「結んで開いて手を打って結んで、また開いて手を打って、その手を上に」の歌詞部分だと以下のような動きになります。

結んで:手をグーにする
開いて:手をパーにする
手を打って:拍手するように両手を打つ
結んで:手をグーにする
また開いて:手をパーにする
手を打って:拍手ふるように両手を打つ
その手を上に:バンザイするように腕をあげる

肩を上げるバンザイの動きが難しい場合は、胸の前で両手を広げるだけでも問題ありません。

また、リズムに乗って肩を横に揺らしたり、歌を口ずさむことも脳にとって良い刺激となるので、無理のない範囲で楽しみましょう。

おちゃらかほい

おちゃらかほいは、2人1組のペアで行う手遊びです。テンポが速い曲なので、瞬発力も求められます。

【遊び方】

①ペアの人と向かい合わせになる
②それぞれが自分の左手のひらを上に向ける
③「おちゃらか、おちゃらか、おちゃらか、ほい!」と歌いながら、リズムに合わせて右手で自分の手のひらを軽く叩き、次に相手の左手のひらを軽く叩く
④「ほい!」の部分でじゃんけんをする
⑤じゃんけんに勝った人は「おちゃらか勝ったよ」と歌いながら手をバンザイし、負けた人は「おちゃらか負けたよ」と歌いながら泣くポーズをとる

この一連の流れを繰り返し、徐々にスピードを速めていきます。また、最後のじゃんけんを後出しじゃんけんにするなど、アレンジを加えて難易度をあげれば、より高い脳トレ効果が得られるでしょう。

道具を使った手遊びレクリエーション2つ

道具を用いた手遊びは、指先をよく動かすものが多く脳の刺激におすすめです。また、道具といっても大掛かりな準備はいりません。

あやとり

輪っかになった1本の紐を手首や指にかけて、いろいろな形を作る手遊びです。あやとりは指先を使いながら次の工程を考えて進めるため、難易度も高く、脳トレとしても効果が高いと言えます。また、完成したあやとりを見て達成感が味わえるというメリットもあるでしょう。

【定番のあやとり】
星、ほうき、はしご、ちょうちょうなど

これらは比較的簡単にできるので、子どもの頃にしたことがある方もいるかもしれません。やり方を思い出しながら形を作れば、昔の楽しい記憶が蘇り、メンタルにも良い影響を与えることでしょう。

【難易度の高いあやとり】
川、橋、のこぎりなど

難しいあやとりには2人で行うものもあります。相手と一緒に悩みながら完成させるので、「次はこうじゃない?」「あれ?違ったね」など会話や笑顔も多くなり、自然とコミュニケーションが発生します。また、完成した時の喜びをともに分かち合えるという体験も、二人あやとりの醍醐味と言えるのではないでしょうか。

折り紙

折り紙は、道具を使った手遊びの定番として、高齢者施設などの介護現場でよく取り入れられているレクリエーションの一つです。

折り紙と一言でいっても、鶴や花などの飾って楽しめるもの、小物入れに便利なハートの入れ物、作った後も遊べる紙飛行機や百面相などがあり、ただ作るだけで終わりではありません。難易度も簡単なものから難しいものまでたくさんあるので、幅広い参加者が楽しめます。

また、介護施設では誕生日会やクリスマス会といったイベントの飾り付け用に、みんなで折り紙を作成することがあります。一つひとつの折り紙は小さくても、たくさんの折り紙が壁一面に飾られている様子を見れば、華やかさに感動したり、みんなで作り上げたことに達成感を感じられるはずです。

レクリエーションに手遊びを取り入れる際のポイント

レクリエーションに手遊びを取り入れる際のポイント

認知症の予防に手遊びが効果的だとわかりましたが、ここでは高齢者の方になるべく楽しく手遊びを続けてもらえるよう、気をつけたいポイントを紹介します。

毎日行えるよう短時間にする

認知症の予防や改善を目指して手遊びを取り入れるのであれば、なるべく毎日継続することが大切です。そのためには、高齢者の方の負担にならないよう「30分だけ」など短い時間を決めて、その範囲内で行いましょう。

手遊びは大きな動きがなく、ダンスや体操など他のレクリエーションに比べると身体への負担は少ないですが、頭や手、目をよく使い集中しながら行なうので長時間続けると意外と疲れるもの。「しんどい」「もうやりたくない」となり続けられなくなっては意味がありません。毎日楽しく続けられるよう、時間を決めて行うようにしてください。

難易度の簡単な手遊びから始める

手遊びは簡単なものから難しいものまで、様々な難易度があります。初めのうちは簡単なものから始めましょう。難しいものを先にしてしまうと、混乱してストレスに繋がる恐れもあるため注意です。

また、人によっては簡単な手遊びだとつまらなく感じることもあるかもしれません。本人の様子を見ながら、難易度を徐々にあげていくのがおすすめです。

手遊びレクリエーションで楽しく認知症予防をしよう!

手遊びレクリエーションで楽しく認知症予防をしよう!

手遊びは一人ですぐにできるもの、誰かと一緒にコミュニケーションを取りながら行うもの、難易度も様々です。認知症の予防には毎日続けることが大切なので、高齢者の方それぞれの状況に合わせて楽しく続けられる手遊びを見つけてくださいね。

私たち日本保健福祉ネイリスト協会では、2012年の活動開始以来、福祉ネイルという美容を通じて、高齢者の方々が輝きある日々を送れるようサポートしてきました。

ネイル施術をする際、指同士が触れてマニキュアが寄れてしまわないよう、20分程度手を広げた状態をキープしていただきます。

認知機能が衰えてしまうと、数分でその状態を維持できません。しかし、ネイルを綺麗に保ちたいという意欲から自然と手指に力を入れることができる方も多いです。

そして、この手指を広げた状態をキープすることは、手のリハビリにもなりえるのではないかと感じております。

また、当協会が提供する福祉ネイリストスクールでは、認知症の種類や接し方のコツを学ぶ時間も設けるなど、1人でも多くのご利用者様が今よりも幸せに過ごせるよう、福祉ネイリストの育成にも力を入れております。

「施設に美容サービスを導入したい」とお考えの際は、ぜひ日本保健福祉ネイリスト協会にご相談ください。

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