介護施設に美容のサービスは必要?おすすめの美容と効果を紹介!
介護施設において、高齢者の方の美容は食事や入浴などに比べると、どうしても後回しになりがちです。
しかし実は、介護と美容は非常に相性が良いということをご存知でしょうか。
本記事では、介護施設でぜひ取り入れてほしい美容サービスについて、どのような効果があるのか詳しく解説していきます。
また、おすすめの美容サービスも紹介しているので、利用者様の心と身体の健康をケアするためにもぜひ最後までご覧ください。
目次
介護施設での美容を取り入れる目的
人は自分の見た目に自信がないとき、外に出ることや他者に会うことを躊躇ってしまうもの。それは若い人であっても高齢者の方であっても同じです。
そして他者との関わりが薄い高齢者の方は、活動的な方に比べて、認知症が進んだり、日常の動作が難しくなるとも言われています。
そのため介護の現場では、高齢者の方に自信を取り戻してもらい、前向きな気持ちになってもらうため、「高齢者の美容」に力を入れるところが増えてきているのです。
高齢者は美容から遠ざかりやすい
高齢になるにつれ、美容から遠ざかってしまう方はたくさんいます。老化によって体が思うように動かせず、一日の大半を部屋で過ごすようになるからです。
このような日々が続くと「どうせ誰にも会わないから」と、メイクをすることも髪を整えることもしなくなってしまうでしょう。
他にも、昔はおしゃれが大好きでいつもきれいにしていた方が、老化や病気による見た目の変化にショックを受けるということはよくあります。
すると、自分に自信がなくなり「誰にも会いたくない」「何もしたくない」とさえ思うようになるかもしれません。
美容は介護の質を高める存在
美容のサービスは、医療や介護だけではカバーしきれない心のケアに最適です。
きれいになった自分を見て素敵だと思ったり、昔の自分を思い出せば、それだけで幸福感が得られ、将来に対する不安やマイナスな感情も払拭できるようになります。
また、メイクやネイルといった美容サービスは、人に触れられる緊張感や普段接している方以外の人との関わりを持つことになるので、単調な毎日に良い刺激をつくります。
このように、美容を取り入れることはただ見た目をきれいにするだけではなく、介護の質を高めるものとして注目を集めているのです。
高齢者が美容サービスを受ける効果とは
ここからは、高齢者の方がメイクやネイルなどの美容サービスを受けることに、どのような効果が期待できるのかを具体的に紹介します。
効果1:自分への関心が高まり自己肯定感が上がる
身だしなみを整えることは、高齢者の方が自分に自信をつける重要な要素です。
きれいに整った自分の姿を見れば、気持ちが明るくなり、鏡を見ることが楽しくなります。そして鏡を見る機会が増えると、もっと素敵に見えるよう笑顔を作ってみたり、背筋を伸ばしてみたり、自分に興味を持つきっかけにもなるのです。
中には、おしゃれを楽しんでいた昔を思い出して懐かしい気持ちになると同時に、今でも自分の姿をみて楽しいと思えることに、幸せを感じる方もいるでしょう。
また、身だしなみを整えることは、美容サービスを受けた本人に限らず、周りの利用者様の気持ちにも良い影響を与えます。
例えば、Aさんがメイクやネイルをしていきいきしている様子を見れば、「私もあんな風になりたい」と思うのが人の心理ですよね。
このように、美容のサービスには、自分の関心だけでなく他者の関心にも良い効果が見込めます。
効果2:前向きになり意欲が高まる
美容を介護に取り入れると、きれいになった自分に自信がついて前向きな気持ちになります。すると不思議なことに、「おでかけしたい」「おしゃべりしたい」などの意欲が湧いてくるのです。
実際に、介護施設では次のような変化がある利用者様もいるでしょう。
- これまでは部屋で過ごすことが多かった利用者様が、ネイルをしてから共有スペースによく居るようになった。
- レクリエーションに参加したがらなかった利用者様が、メイクをするようになってから楽しんで参加することが増えた。
このように、物事に対して活動的になれば、生きがいを見つけやすくなったり、孤独や不安、ストレスの解消にも繋がるでしょう。
効果3:コミュニケーションが増える
介護施設で美容サービスを受けるには、基本的には美容師など外部の人と関わることになるため、自然とコミュニケーションの機会が増えます。
普段とは違った会話や、職員の方とは違う反応をもらえたりすることで、脳への良い刺激にもなるでしょう。
また、サービスを受けた後も周りから「きれいになったね」「似合ってるね」と声をかけてもらうことが増えれば、それだけでもコミュニケーションの場が増え、良好な関係を構築しやすくなります。
中には、今まで話したことのない他の利用者様から声をかけられることもあるかもしれません。そういった他者との関わりが、認知機能の維持や改善につながるのです。
効果4:脳と身体の機能維持・向上
美容サービスを継続して受けることで、日常的に身だしなみに気を使うようになる方が増えます。
自分でメイクをしたり、髪を整えることは、細かい作業を伴うため手先の運動になるでしょう。
また、洋服選びに悩んだり、どんなヘアスタイルにしようか考えることは、脳への良い刺激になります。
他にも、顔を洗う、歯を磨く、鏡の前に立つために動いて移動することも、日常の動作に必要なこと。毎日継続することで筋力の低下を防ぐことにもつながります。
介護施設で行う美容サービス4選
ここまでで、美容が介護の現場におすすめな理由がわかりました。それでは実際に、どのような美容のサービスがあるのか見ていきましょう。
ネイル
ネイルは、爪を色付けたりデザインを施すサービスです。
なんといってもネイルの良さは、鏡がなくても見たい時にきれいになった自分の爪が見られること。日常生活の中でふと目に入る自分の指先がきれいに彩られていると、それだけで気持ちが明るくなりますよね。
そのうえ、ネイルは一度の施術で数日間はカラーが持続するので、非常に満足度の高い美容サービスだと言えるのです。
また、ネイルを施術する際は、目を見て話す・優しく肌に触れるなど、介護する上で重要な「あなたを大切に思っています」という気持ちが自然と伝わりやすい状況にあります。これも福祉ネイルのメリットの一つと言えるでしょう。
メイク(メイクセラピー)
メイクは、プロのメイクアップアーティストなどに化粧をしてもらう美容サービスです。
介護施設で行う際はメイクセラピーといって、利用者様の心のケア目的で行われることが多いでしょう。
そんなメイクセラピーは、短時間での変化が分かりやすく、パッと明るく華やかになるため、自然と笑みがこぼれます。普段と違う雰囲気の自分に、前向きな気持ちになりやすいのも特徴です。
また、利用者様の中には、セルフでメイクをする方もいますが、プロにメイクをしてもらうことで、いままで気づけなかった自分の魅力を発見したり、新しいメイクに新鮮な気持ちになることもあるでしょう。
アロマテラピー
アロマテラピーは、植物の香り成分が入ったオイルを使用し、全身マッサージやハンドマッサージなどを行う美容サービスです。
高齢者の方の身体に優しく触れることで、安心感を与えたり、リラックスしてもらうために行います。
また、身体の痛みや疲れを和らげ、血行促進など健康的にも嬉しい効果が期待できるでしょう。
ヘアケア
ヘアケアは、美容師や理容師によってヘアカットやヘアカラー、ヘッドマッサージ、髭剃りを行ってもらう美容サービスです。
介護施設では、寝たきりの利用者様であってもサービスを受けられるので、心身ともにリフレッシュすることができます。
なお、施設の職員が髪を切る、髭を剃るという行為は違法です。必ず、美容師免許や理容師免許の資格保有者に切ってもらってください。
介護施設で美容サービスを取り入れて心と体に健康を!
美容サービスを受けることは、利用者様の心のケアや身体機能の維持・向上に非常におすすめです。きれいになって、より健康的な生活を送れるようになるでしょう。
私たち日本保健福祉ネイリスト協会では、2012年の活動開始以来、福祉ネイルという美容を通じて、高齢者の方が輝きある日々を送れるようサポートしてきました。
ここで、福祉ネイルを提供する私たちだからこそ間近で感じた「福祉ネイルがもたらす効果」をいくつかご紹介したいと思います。
- ネイルに興味がなかった方でも周りの反応を見て、ネイルをしてみたいという気持ちの変化が現れた。
- ネイルをするようになってから身だしなみを気にするようになったり、洋服とネイルのカラーを合わせるなどオシャレに興味を持っていただけるようになった。
- 会話の理解が難しかった方が、回数を重ねていくうちに職員の声かけに対して少し理解できるようになった。
- 他者とのコミュニケーションが少なかった方の会話が増えた。
施設によって訪問する頻度は異なりますが、リピートしていただくケースが多く、訪問の度にご利用者様の嬉しい変化に福祉ネイルの可能性を感じています。
私たちは、福祉ネイルでもっと多くの高齢者の方の笑顔が増えるよう、福祉ネイリストの育成や福祉ネイルの研究集会にも力を入れておりますので、「施設に美容サービスを導入したい」とお考えの際は、ぜひ日本保健福祉ネイリスト協会にご相談ください。
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