介護施設でイベントを企画するメリットや注意点は?おすすめのイベントも紹介
介護施設では高齢者の方の生活を豊かにする目的で、定期的にイベントが企画・実施されています。
イベントにはさまざまな内容がありますが、具体的にどんなメリットが得られるのでしょうか。
そこで本記事では、介護施設でイベントを企画するメリットや注意点を解説します。
また、あわせておすすめのイベントも全部で6つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
介護施設でイベントを企画するメリット
介護施設でイベントを企画・実施することは、単調になりやすい高齢者の生活に変化がつき、QOL(生活の質)の向上に繋がるというメリットがあります。
具体的には以下のようなメリットがあげられるでしょう。
- コミュニケーションが増える
- 楽しみや生きがいが見つかる
- 運動不足の解消になる
- 脳が活性化され認知機能の低下を防ぐ
1つずつ見ていきましょう。
メリット①コミュニケーションが増える
介護施設での生活は、住み慣れた土地や家族から離れて暮らす高齢者の方も少なくありません。
また、加齢により耳が聞こえにくい、記憶力が悪くなるといったことから他者とのコミュニケーションが取りにくくなることもあるでしょう。
そこで、施設で行われるイベントに参加すれば自然と職員や他の利用者様と交流を持つことができ、コミュニケーションの促進に繋がります。
他者と関わることそのものが、孤独感の解消となり、精神的な安定も得られるというメリットがあるのです。
メリット②楽しみや生きがいが見つかる
年齢を重ねるとともに体調面や体力面で、以前は出来ていたことが出来なくなるというシーンが増えてきます。
たとえば、思うように走れなかったり、立つ・座る動作に時間がかかったり、会話で咄嗟に単語が出てこなかったりなど、さまざまな変化が現れるでしょう。
このような経験が増えると、なにをするにも億劫になり生活に楽しみや生きがいが見い出せないままただ毎日が過ぎていくという方も少なくありません。
そんな方にこそイベントを通して「楽しかった」「次も楽しみ」と感じてもらい、介護予防に繋げることが大切なのです。
また、イベントに参加するだけでも十分ですが、イベントの準備を手伝ってもらうこともおすすめです。
高齢者の方に役割を持ってもらい、自己肯定感の向上や自立支援にも繋がるでしょう。
メリット③運動不足の解消になる
介護施設で開催されるイベントの多くは、楽しんでもらう・リラックスしてもらうなどの目的もありますが、日常生活にはない動作を取り入れることで、運動不足の解消を目指しています。
ダンスやゲームなどの身体を動かすイベントのほか、イベントの準備で飾りつけを作ったり、飾ったりするだけでも指先の機能訓練になるでしょう。
また、イベントの場合は「やらされている」と感じることが少なく、参加者自ら楽しんで身体を動かすケースが多いので、気がつけば「いつもは出来ない動作も出来ていた」なんて嬉しい体験もよく起きるのです。
メリット④脳が活性化され認知機能の低下を防ぐ
イベントを開催する際は、いつものレクリエーションとは飾りつけやBGMが異なるため、特別な雰囲気が楽しめます。
たとえばクリスマス会であればツリーの飾りつけ、プレゼント交換、クリスマスケーキ、クリスマスソングなど、五感でクリスマスが感じられるはず。
このような非日常的な体験は脳への良い刺激となり、認知機能の活性化が期待できるのです。
また、地域の方との交流会などを開催すれば、コミュニケーションも盛んになり、より脳の活性化に役立つことでしょう。
介護施設で定番のイベント企画4選
ここからは、介護施設の季節行事や誕生日会などで行われる定番のイベントを紹介します。
イベント企画①みんなでダンス
ダンスや踊りは、見ても参加しても楽しいイベントの一つ。
介護職員が出し物としてダンスを披露することもあれば、利用者様も一緒になって踊ることもあるでしょう。
職員が披露する場合は、利用者様が手拍子をしたりリズムに乗ることで気分転換になります。
一方、高齢者の方も一緒に踊る場合は、運動不足の解消になります。みんなが参加できるようにゆっくりとした動きのダンスや簡単な振り付けのものを選びましょう。
いずれにしても、ダンスに使用する音楽は高齢者の方が知っている曲にすることがポイント。懐かしい気持ちになったり、リズムにも乗りやすくなりますよ。
イベント企画②みんなで合唱・楽器演奏
高齢者の方が好きな歌や曲を合唱したり演奏するのも人気のイベントです。
普段は人前で歌ったり演奏する機会がない方でも、みんなで一緒に行うため抵抗なくできるでしょう。
また、合唱や演奏の練習をするときに他の利用者様とのコミュニケーションを取ることにも繋がります。
イベント企画③手品・マジックショー
手品やマジックは、驚くような仕掛けを見ているだけで楽しめるイベントのひとつです。
基本的には職員の方が披露することが多いと思いますが、簡単な仕掛けや市販の道具を使えば手軽にマジックができます。
もしくは特別なイベントの時は外部からプロのマジシャンを呼ぶのも良いでしょう。
また、マジックを見る時、誰でもつい見入ってしまうはず。そのため、集中力の維持に役立ったり、「なぜ?どうなってるの?」と考えることで、脳への良い刺激になるのです。
イベント企画④クイズ・なぞなぞ
クイズやなぞなぞも参加者全員が楽しめるイベントです。
季節の行事に合わせた内容にすれば、よりイベント感も増してさらに楽しめるでしょう。
たとえば、クリスマス会をするのであればクリスマスにちなんだクイズを出し、正解者には景品としてクリスマスプレゼントをあげるのも良いですね。
また、クイズやなぞなぞを解こうとするとき、記憶を遡ったり考えたりしますよね。そうすることで脳が活性化され、認知機能や記憶力、判断力などを鍛える良い訓練にもなるのです。
介護施設で注目のイベント企画2選
ここからは、高齢者の方に好評のおすすめイベントを2つ紹介します。「次回も楽しみ!」と言ってもらえること間違いないので、ぜひ企画案に取り入れてみてくださいね。
気持ちが高揚する美容イベント
介護施設で行われるイベントの中でも、近年注目を集めているのが美容療法を取り入れたイベントです。
美容福祉のプロにメイクやネイルなどを施してもらうことで、気持ちが高揚したり前向きになるといった効果があります。
年を重ねると病気や老化が原因で外出する機会が減り、おしゃれをしなくなってしまう高齢者の方は少なくありません。すると、さらに外出や人に会う機会も減っていき施設内で過ごすことが多くなるでしょう。
体を動かさなくなり、誰とも喋らない日も増えれば、認知機能や身体機能の低下が著しく進んでしまい、寝たきりの状態や認知症になる恐れもあります。
そのため、おしゃれする機会の少ない高齢者の方にこそ、いつもの自分と違う姿に心を弾ませ、気持ちを明るく前向きにしてもらうことが大切なのです。
また、人はきれいになると誰かに見てほしくなるもの。メイクやネイルで おしゃれを楽しむことは、メンタル面での良い効果の他にも、他者とのコミュニケーション促進に繋がったり、生活意欲の向上にも繋がるとされています。
社会との繋がりを感じる交流会
地域の方や子供たちと一緒になってイベントを行う交流会は、普段関わらない人たちとコミュニケーションをとる場として人気です。
とくに園児や学生など、年の離れた世代間交流は、日常が単調になりやすい高齢者の方にとってとても良い刺激になります。
たとえば、昔の遊びや料理を子供たちに教えたり、逆にパソコンやゲーム機器の使い方を子供たちから教わったりするだけで、発語力や理解力の訓練にもなるのです。
また、人生の先輩として学生たちの悩み相談に乗ることもあるでしょう。自分の経験をもとに良いアドバイスをしようと過去を振り返ったり、人の役に立つことの嬉しさを思い出すことは、自己肯定感の向上にもつながるため、表情も明るくなるはずです。
介護施設でイベントを企画する際の注意点
介護施設でのイベントを企画・実施する際は、利用者様目線になることがポイントです。そのほかにも楽しく安全にイベントを進行させるために気を付けるべき注意点を紹介します。
利用者の体調・状態を常にチェックしておく
まずは、利用者様の体調や状態を必ずチェックしながらイベントを進めるようにしてください。
季節によっては暑すぎたり寒かったりして体調を崩す方もいるかもしれません。また、普段とは違うイベントについ集中しすぎて自分の体調を忘れて楽しむ利用者様もいるでしょう。
体調を崩してから気がつくと取り返しのつかない事態になる可能性もあるので、イベント中は一人ひとりの顔色や動きをしっかりと観察して、いつもと少しでも違うと感じれば、こまめに声掛けを行うようにしましょう。
参加者全員が楽しめるようにする
イベントの企画をする際は、利用者様全員が参加できるよう配慮が必要です。中には車いす生活の方やコミュニケーションが苦手な方もいるでしょう。
そのため、誰でも気軽に参加できる音楽イベントや映画鑑賞会などを中心に考えてみてください。もしゲームや体操など、体を動かす内容のイベントを行うのであれば、座ったままでもできるようルールや道具を工夫しましょう。
また、みんなの輪に入れていない参加者がいる場合は、職員が声をかけて一緒に楽しんでくださいね。
介護施設のイベント企画はみんなが楽しめるものを!
介護施設で行われるイベントには、四季の変化を楽しむものや身体を動かす目的のもの、脳トレを目的としたものなどさまざまです。
利用者様の得意不得意、健康状態を確認しながらみんなが楽しんで取り組めるものを企画してみてくださいね。
私たち日本保健福祉ネイリスト協会では、2012年の活動開始以来、福祉ネイルという美容を通じて、高齢者の方が輝きある日々を送れるようサポートしてきました。
介護施設でイベントを行う際は、施設の形態や利用者様のご希望に応じて、ネイルブースを設けて一斉に施術をしたり、個人様のお部屋に伺って行うこともあります。
多い場合だと同施設で月に1〜2度ほど、ネイルサービスをさせていただいております。
このことからも分かるよう、美容療法の需要は年々高まってきており、介護施設のイベントとして福祉ネイルを導入する事業所様も増えてきていると実感しております。
そんな福祉ネイルでもっと多くの高齢者の方の笑顔が増えるよう、福祉ネイリストの育成や福祉ネイルの研究集会にも力を入れておりますので、「施設に美容サービスを導入したい」とお考えの際は、ぜひ日本保健福祉ネイリスト協会にご相談ください。
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