高齢者におすすめのセラピー5選!期待できる効果や必要性も解説

高齢者におすすめのセラピー5選!期待できる効果や必要性も解説

運動機能や認知機能、意欲の向上が期待できる高齢者セラピーは、多くの介護施設で取り入れられています。

しかし、アニマルセラピーやタッチセラピー、美容セラピーなどさまざまな種類があり、どれを取り入れるべきか悩む職員の方もいるのではないでしょうか。

本記事では、数ある高齢者向けのセラピーの中でも、取り入れやすく効果の高いものを5つ紹介します。

高齢者の方が輝きのある毎日をすごせるよう、一人ひとりに合ったセラピーを見つける参考にしてくださいね。

高齢者にセラピーは必要?

高齢者の方は年齢を重ねるとともに、さまざまなことが原因で心と身体に不調が現れます。

たとえば大切な人との別れや社会的役割を手放すといった喪失感、日常の動作が思うように行えない苛立ち、もの忘れが多くなり人との会話がうまくいかない不安などがあるでしょう。

このような慢性的なストレスは、意欲や自己肯定感、認知機能の低下につながる恐れがあり、状態によっては抑うつと診断される場合もあります。

そうならないためには、日ごろから高齢者の方のメンタルケアに努め、心と体の健康を守ることが非常に重要なのです。

高齢者セラピーに期待できる効果

高齢者セラピーに期待できる効果

そもそもセラピーの効果には、大きく分けて次の2つがあるといわれています。

  • 体の変化として現れる「生理的効果」
  • 気分の変化として現れる「心理的効果」

どちらも高齢者の方のQOL(生活の質)向上につながりますが、具体的にどのような効果があるのでしょうか。

それぞれの違いを知ったうえで高齢者セラピーを取り入れましょう。

生理的効果(体の変化)

セラピーと聞くとメンタルケアをイメージするかもしれませんが、じつは運動効果も見込めます。

たとえば、セラピーの中でも定番のアニマルセラピーを取り入れた場合、普段は動きたがらない利用者様でも「犬に触れたい・抱っこしたい・散歩したい」などの行動意欲が湧いてくるでしょう。

そのため、本人は運動しているという感覚がなくても、自然と身体を動かすことになるため、運動不足の解消や筋力の維持などに繋がりやすいのです。

心理的効果(気分の変化)

セラピーには、心を癒してストレスの軽減や不安を緩和させる効果があります。

たとえば動物やぬいぐるみに触れて優しい気持ちになったり、花を育てることに責任感を持ったり、ネイルやヘアメイクをして心が弾むなど、感情の変化が見えるでしょう。

その気持ちだけで自然と笑顔がこぼれ、幸福感が得られるとともに、生きがいや自己肯定感の向上につながります。

さらに、楽しいことや嬉しいことはだれかと共有したくなるもの。

そのため、自然とコミュニケーションをとる機会も増え、交友関係が広がったり、人間関係が良好になるなど、社会的な部分でもさまざまなメリットが期待できるのです。

高齢者におすすめのセラピー5選

高齢者におすすめのセラピー5選

高齢者の方にとってセラピーを実施することは、心身ともに良い影響があることが分かりました。

ここからは、数ある高齢者セラピーの中でもとくにおすすめの5つを紹介します。

  • 美容セラピー
  • アニマルセラピー
  • ドールセラピー
  • 園芸セラピー
  • タッチセラピー

それぞれの効果も分かりやすくまとめているので参考にしてください。

美容セラピー(メイク・ネイル・ヘア・フェイシャルなど)

効果

自分自身への関心や自尊心が高まる、自分に自信が持てる、積極的になれる

美容セラピーとは、女性の利用者様にメイクやネイルを施したり、男性であればヘアカットやヘアカラー、フェイシャルマッサージ、髭剃りなどのおしゃれを楽しむことで心をケアするセラピーです。

高齢者の方は、外出や人に会う機会が減り、身だしなみを整えることから遠ざかる方も少なくありません。

その状態が続くと、おしゃれをしたいという気持ちもなくなり、ついには自分への興味さえも薄れてしまう可能性もあるでしょう。

しかし外出する予定がなかったとしても、身だしなみを整えれば表情も気持ちも明るくなり、誰かと会ったり出かけたくなるものです。

つまり、人を前向きな気持ちにさせるためだけでなく、その行動の先に社会とのつながりを感じたり、自分らしさを取り戻すためにもおしゃれは必要だといえます。

また、「明るくなったね」などと周りからの声掛けも自然と増えるので、人との関わりが増えるきっかけにもなるでしょう。

だからこそまずは、おしゃれをする楽しさを思い出してもらい、自分に興味を持ってもらえるよう美容セラピーを取り入れてみてはいかがでしょうか。

アニマルセラピー

効果

身体機能の向上や維持、孤独感の解消、役割が見つかる

アニマルセラピーは動物と触れ合うことで心のケアを図るセラピーです。動物介在療法ともいわれ、介護施設で取り入れられているセラピーの中で最もポピュラーなものでしょう。

高齢者の方に限らず誰でも一度は、動物と過ごして心が落ち着いたり温かい気持ちになった経験があるのではないでしょうか。このように、動物と触れ合うことには癒しやストレスの軽減が期待できるのです。

本記事の冒頭でも説明した通り、高齢者の方はさまざまな喪失感から孤独を感じやすくなっています。そのせいで何をするにも意欲がわかず、部屋に籠りっぱなしという方も少なくありません。

動物には犬や猫、ウサギ、イルカなどさまざま種類が用いられます。中でもやはり犬を用いたセラピードッグが主流で、専門の訓練を受けた犬が、高齢者の方と一緒に立つ・歩くなどの運動機能の練習を行います。

もちろん運動機能の向上だけでなく「お座り・待て・お手」などの指示を出したり、エサをあげたりして動物のお世話をするといった「役割」を持たせる目的もあります。

仕事や育児から離れた高齢者の方にとって、社会的な役割を持つことは、自尊心や生きがいにつながるでしょう。

ドールセラピー(ロボットセラピー)

効果

自律的な生活につながる、孤独感の解消、コミュニケーションの促進

ドールセラピー・ロボットセラピーは、人形や動物型のロボットを用いて心のケアを行うセラピーです。リアルな動物と違ってアレルギーや感染症、相性などの心配がなく導入しやすいというメリットがあります。

中でも本物の赤ちゃんそっくりな人形を用いたドールセラピーは、女性だけでなく男性の利用者様のメンタルケアにも効果的です。

実際に出産をしたことがない人や子育て経験のない人でも、赤ちゃんを見るとつい微笑みかけてしまいますよね。

それは私たち大人が赤ちゃんという存在を本能的に「可愛い」と感じているからです。そしてそんな赤ちゃんにと触れ合うことは心や脳へに良い影響を与えるとされているのです。

たとえば柔らかい赤ちゃんの肌や、小さな手足、守ってあげたくなるような純粋な眼差しに、心から愛おしさや安らぎを感じるでしょう。

また、一人ではなにもできない赤ちゃんの様子を見て「お世話してあげないと」という使命感さえも感じることもあります。

中には赤ちゃん人形に話しかける高齢者の方もおり、発語やコミュニケーションの促進につながるだけでなく、そういった気持ちが生活のハリとなり、高齢者の方の自立性に役立つのです。

園芸セラピー

効果

運動不足の解消、視覚・嗅覚が刺激されて脳の活性化につながる

園芸セラピーとは、花や野菜などの植物を育てることでストレスの緩和や意欲の向上を目指すセラピーです。

プランターや鉢植えがあれば簡単にできて、コミュニケーションが苦手な方でも始めやすいといった特徴があります。

植物がしっかり成長するように水やりや雑草引き、土を耕すなど、意外と作業が多く身体を動かすきっかけにもなります。

また、ガーデニングをする際は庭やベランダなど日光が当たる場所に出るため、気持ちの面でも明るく健康的に過ごせることでしょう。

そして、きれいに咲いた花を見た人が喜んでくれたり、たくさん実った野菜を食べて美味しいと言ってもらえたら「育ててよかった」「人の役に立った」と嬉しくなります。

自己肯定感が上がるだけでなく、これをきっかけに他者とのコミュニケーションが生まれやすくなるはずです。

ボディタッチセラピー

効果

ストレスの緩和、リラックス

ボディタッチセラピーは、高齢者の方の身体に手で優しく触れるメンタルケアです。

皮膚を撫でる・さする・当てるなどを行うことで、セラピストの手の温もりを感じて安堵感や心地よさが得られます。

また、マッサージ効果もあることから身体の疲れも癒やされるでしょう。

特別に道具が必要というわけではありませんが、直接高齢者の方の肌に触れるケアなので、専門的な技術が求められます。

高齢者向けのセラピーで心身ともに健康を目指そう

高齢者向けのセラピーで心身ともに健康を目指そう

さまざまなストレスを抱えながら日々を過ごす高齢者の方にとって、セラピーを実施することは癒しの効果があるだけでなく、意欲の向上、運動不足の解消など多くのメリットがあることが分かりました。

すぐにセラピーの効果がでる方もいれば、時間をかけてゆっくりと前向きになっていく方もいるでしょう。高齢者の方一人ひとりに合うセラピーを見つけて、心身ともに健康を目指してください。

私たち日本保健福祉ネイリスト協会では、2012年の活動開始以来、福祉ネイルという美容セラピーを通じて、高齢者の方が輝きある日々を送れるようサポートしてきました。

高齢者の方にネイルを行う際は、フランス発祥のケア技法であるユマニチュードを取り入れ、高齢者の方のさまざまな症状の軽減にも役立っているのではと感じております。

というのもこの技法では、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という要素を大切にしており、福祉ネイルはこの4つすべてを網羅できると言われているのです。

また、QOL向上を目的とした福祉ネイルは、数ある高齢者セラピーの中でもプラスの効果が目に見えて分かりやすい1つではないかと考えております。

福祉ネイルでもっと多くの高齢者の方の笑顔が増えるよう、福祉ネイリストの育成や福祉ネイルの研究集会にも力を入れておりますので、「施設に美容サービスを導入したい」とお考えの際は、ぜひ日本保健福祉ネイリスト協会にご相談ください。

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