高齢者への接し方で押さえるべきポイントは?やってはいけないNG行動も紹介

高齢者への接し方で押さえるべきポイントは?やってはいけないNG行動も紹介

高齢者の方への「接し方」を意識することは、よりスムーズな介護を行う上で欠かせません。

しかし、利用者様それぞれに個性があり、どのように接すればいいか悩む職員の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、介護をするうえで押さえておきたい基本的な接し方やポイントを紹介します。

また、NGな接し方も解説しているので、ついやってしまっていないか確認してみてください。

高齢者への「接し方」が重要な理由

一般的に高齢者の方は、社会との繋がりが薄れていくことから、他者との関わりや物事を考える機会が減っていき、脳への刺激が少なくなると言われています。

脳への刺激が少なくなると、認知機能や身体機能の低下に繋がるため、認知症の症状が進んだり歩くことが困難になるといったトラブルも生じてしまうでしょう。

そのため、高齢者の方と接する際は、単に食事や入浴の介助をすれば良いというわけではなく、「どうすれば利用者様の思考や感情に良い刺激が与えられるのか」を考えて行動する必要があるのです。

また、「接し方」を意識することは、安全かつスムーズな介護を行うためにも欠かせません。たとえば、身体の向きを変える・腕や足をあげるといった動作では「もう少し左を向いて欲しい」など、高齢者の方の協力が必要になります。

普段の接し方が高齢者の方にとって安心できるものであれば、信頼関係も築きやすいので、より質の高い介護に繋がるといえるでしょう。

高齢者への基本的な接し方

高齢者への基本的な接し方

ここでは、高齢者の方と関わる際の「基本の接し方」を紹介していきます。老化や病気などさまざまな理由から不安を抱える利用者様が安心して過ごせるよう、職員一人ひとりが意識して実践することが大切です。

高齢者の話をよく聞く

まずは相手の好きなこと、苦手なこと、嫌だと思っていることなどを知るために、高齢者の方の話を傾聴しましょう。傾聴とは、単に話を聞くだけではなく、相手の気持ちに寄り添いながら丁寧に耳を傾けることです。

話に興味を持ちしっかりと傾聴できれば、「どんな気持ちなのか」「何を伝えたいのか」「どうして欲しいのか」が見えてくるため、共感もしやすくなります。

人は、誰かに自分の気持ちや考えに共感してもらえると安心するもの。高齢者の方ももちろんそうで、共感することで「熱心に話を聞いてくれている」「私のことを真剣に考えてくれている」と感じてもらえます。

なお、話を傾聴する際は「そうなんですね」「なるほど」「大変でしたね」など相槌を打ったり、目線の高さを相手に合わせながら話することがポイントです。

高齢者の表情・様子を観察する

高齢者の方と接する際は、日頃から相手の表情や様子をしっかり観察するようにしましょう。普段の様子が把握できていると、体調の変化や小さな変化にも気付きやすくなります。

とくに体調は顔色や動作に現れやすいので、いつもと比べて血色はどうか、動きは鈍くないか、表情が固くないかなどをチェックしましょう。

また、観察する際は、客観的に相手のことを注意深くみるように意識することがポイント。自分の考えや感情といった主観が入ってしまえば、「この人はいつも嫌がるから今日もそうだろう」と勝手に憶測してしまうのです。

そうなると、高齢者の方の些細な変化を見逃してしまい、体調不良や病気の悪化などの重大なトラブルに発展するかもしれないので注意してください。

低めの声でゆっくり・はっきりと話す

老化や病気が原因で耳が聞こえにくくなる高齢者の方はとても多く、とくに高い音が聞き取りにくいと言われています。

そのため、話しかけるときはなるべく落ち着いた低めの声で話すよう心がけてください。

また、ゆっくりとはっきり話すことも忘れないようにしましょう。たとえば「◯◯さん/今日の/体調は/いかがですか?」というように言葉に区切りをつけるだけでも聞き取りやすくなります。

高齢者の方と信頼関係を築くためには、相手の話を傾聴するのと同時に、こちらの意思が伝わるように話すことも大切です。

高齢者と良い関係が築ける「接し方」のポイント

高齢者と良い関係が築ける「接し方」のポイント

高齢者の方と良好な関係を築くためには、相手を「介護する対象者」としてみるのではなく、「自分と対等な個人」としてみることが大切です。ここでは、具体的にどのようなことが「対等」と感じるのか、そのポイントを紹介します。

まずは高齢者の気持ちを受け入れる

高齢者の方と話をする時は、自分の主観を入れず、相手が話す内容や気持ちをありのまま受け止めましょう。

話を途中で遮ったり自分の話をしたりせず、最後までしっかりと傾聴します。また、高齢者の方が話終わったあとに、否定や意見をしたくなったとしても、共感して相手の気持ちに寄り添うことがポイントです。

否定されると自尊心が傷ついたり疎外感を感じて、中には他者との関わりを遮断する方もいるので気をつけましょう。

ただし、安全上の問題がある場合は全ての言動に共感する必要はありません。たとえば、認知症の方が職員や他の利用者に手をあげてしまったり、散歩中に赤信号で渡ろうとしたりした場合は、別途対策を考える必要があります。

非言語コミュニケーションを活用する

非言語コミュニケーションとは、言葉以外の方法でコミュニケーションをとるものです。たとえば、表情や仕草、声のトーンなどがあげられます。

この非言語コミュニケーションを活用すると、「あなたの話に興味があり真剣に聞いている」と感じてもらいやすいほか、言葉での意思疎通が難しい相手でも言いたいことが伝わりやすくなるのです。

具体的には、高齢者の方が話を始めたら、少し前のめりになって傾聴する態度を示しましょう。そしてアイコンタクトや相槌、優しいまなざしで話を聞いてください。

時には背中をさすったり、優しく手を握ってあげるのも良いでしょう。ただし、高齢者の中には、体に触れて欲しくないという方もいるかもしれないので、様子をみながら取り入れてくださいね。

このように非言語コミュニケーションは、相手への興味を示すのにとても役立ちます。しかし、心から「あなたのことを知りたい」と思っていなければ、なかなかうまく活用できないものです。

そのため、まずは職員の方が高齢者の方と接することが「楽しい」と思う気持ちを持つようにしましょう。

高齢者との接し方でのNG行動

高齢者との接し方でのNG行動

介護の現場は忙しく、予定通りに進まないことも多いため、「接し方」への意識が薄れてしまうという職員の方もいるでしょう。ここでは、そんな時こそ気をつけたい「高齢者の方と接する際にやってはいけない行動」について紹介していきます。

高齢者を子ども扱いする

高齢者の方に優しく対応しようとしたり、距離を縮めようとするあまり、「子どもに対する口調や態度になってしまう」という方は多いのではないでしょうか。

たとえば、「おねんねしましょうね」「やっちゃいけません!」などの言葉を発したり、日常の動作の多くを職員がやってしまうことも子ども扱いになります。

このような接し方は、高齢者の方からすれば「見下されている」と感じてしまう可能性が高く、プライドを傷つけてしまうのです。

また、本来なら自分でできることをなんでもしてしまうことで、身体機能や自立心が低下することにも繋がるでしょう。

決して子ども扱いせず、口調は大人と同じように、介助はサポートが必要なときだけにすることが大切です。

命令口調になる

介護現場では物事が予定通りに進まず、つい焦ってしまったり苛立ったりすることもあるでしょう。

そんな時に利用者様が想定外の動きをとったり、耳が遠くこちらの意思が伝わらないと、「ここに座ってて!」「早くして!」といった命令口調になってしまう方もいるかもしれません。

このような言葉遣いは、高齢者の方を傷つける可能性もあるだけでなく、逆に口論に発展してしまう可能性もあるので使わないでください。

どんなときでも「~しましょう」「〜できますか?」「〜してくれますか?」というように丁寧な言葉を使うことがポイント。

なお、「〜してください」は一見、丁寧に聞こえますが、相手の行動を制限することになるため使わないほうが無難です。

また、たとえ丁寧な言葉を使ったとしても、強い言い方をしてしまえば「命令されている」と感じてしまうので気をつけましょう。

高齢者への接し方のポイントは「相手を思う気持ち」が大切!

介護を安全かつスムーズに行うためには、高齢者の方と職員の信頼関係が欠かせません。

そこでポイントとなるのが「どんな接し方をするか」ということです。

傾聴や共感、相手の様子を観察するなどを意識しながら、相手の自尊心を傷つけないように接してみましょう。

わたしたち日本保健福祉ネイリスト協会では2012年の活動開始以来、「福祉ネイル」という美容を通じて、高齢者の方が輝きある日々を送れるようサポートしてきました。

施術時には、認知症の軽減に効果的な「立つ・見る・話す・触れる」を重視したケアを実践し、高齢者様の健康状態の向上に寄与できていると感じております。

また、福祉ネイルでより多くの高齢者の方に癒しや希望を感じてもらえる機会が増えるよう、福祉ネイリストの育成や福祉ネイルの研究集会にも力を入れています。

「施設に美容サービスを導入したい」とお考えの際は、ぜひ日本保健福祉ネイリスト協会にご相談ください。

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