高齢者を笑わせるおすすめの方法を紹介!笑いは必要?どんな効果があるかも解説

高齢者を笑わせるおすすめの方法を紹介!笑いは必要?どんな効果があるかも解説

高齢者の方は年を重ねるごとに、老化や病気により笑顔でいられることが少なくなります。

そのため、中には「最近◯◯さんの笑い声を聞いていないな」と心配する職員の方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、高齢者にとって「笑い」は必要なのか、どのような効果が期待できるのかを解説します。

また、高齢者の方を笑わせるおすすめの方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

高齢者を笑わせることは必要?

高齢者の方は年齢を重ねるごとに、目が見えにくくなる、耳が遠くなる、立つ・歩くがしんどくなるなど「できないこと」が増え、心から笑える機会が少なくなっていきます。

たとえば、誰かと会ってもコミュニケーションが上手く取れなかったり、外出しても思うように動けないといったことが続くと、何をしても楽しいとは思えず、部屋にこもる方が心地よいと感じる方もいるでしょう。

人は「楽しい」「やってみたい」「嬉しい」など、自然と笑顔になるプラスの感情がなければ、なかなか自ら行動しようとは思わないもの。

とくに介護施設などで行われるレクリエーションにおいては、「しんどい」「めんどくさい」と感じることで、したくもないことを「させられている」という義務感が生まれるかもしれません。

そうなれば、レクリエーションを行う目的である認知機能や身体機能の向上の効果も薄れてしまうでしょう。

そのため、まずは「笑う」という行為で気持ちをポジティブにし、物事への興味関心を引き出す必要があるのです。

「笑い」で感情が揺さぶられると、「もっとやってみたい」「またやりたい」「次は新しいことに挑戦したい」などの気持ちが芽生え、他者と関わったり、体を動かすきっかけにも繋がります。

高齢者を「笑わせる」ことの効果とは

高齢者を笑わせることの効果

心の底から思いっきり笑うと、気持ちも体も元気になったような気がしませんか?実際に「笑い」が人間の心や体に良い影響を与えることは医学的に証明されつつあります。ここでは、笑う機会が少ない高齢者の方を「笑わせる」ことには、どのような効果が期待できるのかを確認していきましょう。

脳の活性化が期待できる

ストレスを受けた脳は緊張状態が続き、酸素不足になることで働きが鈍くなると言われています。

そのため、老化や環境の変化など日々さまざまな悩みを抱えている高齢者の方は、ストレスが原因で認知機能が低下することも考えられるでしょう。

しかし、笑うことで自然と腹式呼吸になり、深呼吸したときよりも多くの酸素が吸収できるほか、脳内にα波(アルファ波)が増えてリラックスした状態になります。

すると、脳細胞に酸素がたっぷりと取り込まれて血液量がアップし、脳の働きが活性化するのです。

また、新しいことを学習する器官「海馬」が活発になるため、認知機能の維持だけでなく認知症の予防にも繋がると期待されています。

自律神経が整いやすくなる

心臓を動かして全身に血液を送る、体温を調整する、呼吸する、食べ物を消化するといった体の働きは、自律神経によるもの。

自律神経は日中の活動時では「交換神経」が、夜間やリラックス時には「副交感神経」が優位になると言われています。

そして心身ともに健康でいるためには、寝る時に自律神経がしっかりと副交感神経に切り替わっていることがポイントです。

しかし、ストレスや緊張状態が続くと、交感神経が過剰に働いて「寝たいのに眠れない」「なんとなく体がだるい」といったトラブルも起こりやすくなります。

そんな時こそ、笑ってリラックスしてみましょう。リラックスした状態が続くと自律神経も整い、生活リズムや体調も安定しやすいのです。

免疫力アップに繋がる

笑うことには、「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」という免疫細胞の働きを活性化させる効果が期待できます。

ナチュラルキラー細胞は、がん細胞や体内に侵入するウイルスなどの物質を攻撃する細胞のことで、細胞が活発に働くほど病気にかかりにくいと言われています。

そして大きく笑うことは、通常よりも多くの酸素が体内に入り血のめぐりがよくなるため、ナチュラルキラー細胞の働きが活発になるほか、新陳代謝も高まって免疫力アップにも繋がるのです。

また、「笑う」という動作では、表情筋や横隔膜、腹筋などを無意識に動かしています。そのため、じつは全身運動にもなっているんですよ。

高齢者を「笑わせる」おすすめの方法

高齢者を「笑わせる」おすすめの方法

ここからは、笑う機会が減ってしまった高齢者の方を「笑わせる」方法を紹介します。笑いで感情を動かしてもっと笑顔が増えるよう、日々の生活に取り入れてみましょう。

笑わせる方法①つい笑ってしまうレクリエーションを行う

ついクスッと笑ってしまうようなレクリエーションを行えば、簡単に「笑い」を引き出すことができます。ひとりが笑えばつられるようにして他の人も笑い、「笑い」が連鎖しやすくなるので、参加者みんなが楽しめるでしょう。

具体的には次のようなゲームや体操がおすすめです。

  • 早口言葉
  • 笑い体操
  • イントロクイズ
  • 糸電話伝言ゲーム

早口言葉

早口言葉は、噛んでしまいそうになる文章を早口で読み上げるため、脳と口周りの筋肉を鍛えます。

たとえば「なまむぎ なまごめ なまたまご」を大きな声で3回連続言ってみましょう。

みんなで一斉に声を出して読み上げるのもいいですが、なるべく少人数にして自分や周りの声が聞き取れるようにすると、言い間違いも聞き取れて、つい笑ってしまうはずですよ。

笑い体操

笑い体操とはその名の通り、笑いながら行う体操です。

たとえば、参加者の前に立つ職員の方が、前屈姿勢から状態を起こし腕を上にあげるときに「わはははは〜」や「ハヒフヘホ〜!」と大きな声で笑うように言ってみましょう。

すると、参加者もその声につられて笑いながら体操をし、周りにいる人にもどんどん笑顔が伝染していくはずです。

イントロクイズ

イントロクイズは、正解でも不正解でも懐かしい気持ちになり、つい笑顔がこぼれるレクリエーションです。

また、近くの参加者と「◯◯さんの歌じゃない?」など、話すきっかけにもなるほか、思い出そうとすること自体が脳への刺激となるので、認知機能の維持や認知症予防にも繋がります。

なお、イントロクイズのお題は、高齢者の方なら誰もが知っている懐メロにしましょう。

糸電話伝言ゲーム

糸電話を使った伝言ゲームは、最後の人まで間違えずに言葉が伝われば成功です。

しかし、いつの間にか言葉が変わってしまい、最後には全く違う言葉になっていた!とみんなで大笑いできること間違いありません。

また、正確に言葉を伝えよう・正確に聞き取ろうとするため、コミュニケーションや脳の活性化にも繋がります。

笑わせる方法②落語を鑑賞する

落語は、高齢者の方に取って昔から馴染みのある娯楽の一つ。高齢者の方の中には、落語をテレビで見る機会がなくなったからと、喜ばれる方もいるでしょう。

有名な話から創作までさまざまなネタを、面白おかしく語ってくれるので、聞いているだけでも楽しめます。

また落語は、耳から入る情報でどんな場面や景色かを想像し、ストリーを踏まえた上で「話のオチ」に気づき、「そういうことか」と分かって楽しむもの。

脳のトレーニングにも非常におすすめなんですよ。

笑わせる方法③動物に触れ合う機会をつくる

動物に触れ合うことで笑顔を引き出す、いわゆるアニマルセラピーもおすすめです。

犬や猫といった動物がいると、思わず笑顔がこぼれてしまいますよね。高齢者の方の中には、昔飼っていたペットのことを思い出して、嬉しい気持ちになる人もいるでしょう。

また、動物に話しかけたり、頭を撫でるためにしゃがんだりと、自発的に行動するようにもなるため、さまざまな面での機能維持や向上にも繋がるのです。

笑わせる方法④身だしなみを整える

ヘアカットやヘアカラー、メイク、ネイルなどを施し、高齢者の方の笑顔を引き出す方法もおすすめです。

身だしなみを整えてきれいになった自分を見ると、嬉しくてつい笑顔がこぼれますよね。

笑顔が増えると元気になり、元気になるとさまざまなことへの意欲がわいてきます。

また、きれいになったという自信から積極的に他者と関わるようになったり、部屋から出る時間が増えるなど、前向きな気持ちになりやすいでしょう。

高齢者を笑わせる時のポイント

高齢者を笑わせる時のポイント

最後に、高齢者の方を笑わせる際の注意点・ポイントを紹介します。

無理に笑わせようとしない

「笑うこと」の効果には素晴らしいものがたくさんありますが、「絶対に笑わせなければ」と思う必要はありません。

無理に笑わせようとすると、かえって疎ましく思われたり余計に引きこもってしまうこともあるからです。

まずは、高齢者の方が自然と笑えるように、些細なことでいいので、一緒に笑うことから少しずつ始めてみてください。

たとえば、着替えや食事の介助中に、その利用者様の好きなことを話すだけでもいいでしょう。

どんな話題だと笑顔になるか、笑っているのかを観察して、それぞれにあった方法で「笑い」を増やしていくと良いですよ。

職員だけでなく外部サービスにも頼る

高齢者の方が笑顔になるレクリエーションをしようと考えるものの、職員の方だけではできることが限られるケースもあるでしょう。

そんな時は、外部のサービスを利用してみるのも一つです。たとえば、落語家の方に来てもらったり、福祉メイクやネイルのプロに来てもらったりすれば、普段では感じることのできない感動や楽しさが味わえます。

また、利用者様の興味の範囲が広がることで、さらに笑顔が増え、もっとさまざまなことに前向きに取り組むきっかけにもなるかもしれませんね。

高齢者を笑わせることで日々の生活に輝きを!

高齢者の方を「笑わせる」ことには、脳の活性化や免疫力アップなどの素晴らしい効果が期待できます。

体を動かす、他者と関わる、新しい物事に興味を持つといった、前向きな気持ちにも繋がるでしょう。

そのためには高齢者一人ひとりにあった方法で「笑い」を引き出すことが楽しいと思ってもらえるポイントです。

わたしたち日本保健福祉ネイリスト協会では2012年の活動開始以来、「福祉ネイル」という美容を通じて、これまでに多くの高齢者の方に笑顔になっていただきました。

施術中は、昔の楽しかった記憶を思い出してもらい、共感しながら話を進める「回想法」という療法を取り入れています。

昔を思い出すいくつかのキーワードを準備しているので、個人にあわせた話題が見つかりやすく、ネイル時間そのものが有意義なものになるよう心がけています。

また、もっと多くの高齢者の方に輝きある日々を送っていただける機会が増えるよう、福祉ネイリストの育成や福祉ネイルの研究集会にも力を入れています。

「施設に美容サービスを導入したい」とお考えの際は、ぜひ日本保健福祉ネイリスト協会にご相談ください。

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