高齢者が見やすい色は何色?なぜ色が見えにくくなるのか理由も解説!

高齢者が見やすい色は何色?なぜ色が見えにくくなるのか理由も解説!

高齢者にとっての「見やすい色」を知ることは、介護をより良いものにするために知っておくべきことです。

老化によって見える色や明るさが変われば、暗い場所でつまづいたり、人とのコミュニケーションが上手くいかないなど、日常生活や心理面においてトラブルを抱えることが多くなります。

そこで本記事では、高齢者の方が安心して過ごすことができるよう、見やすい色にはどんな色があるのか、どんな色の組み合わせだと見えやすいのかなど、具体的な色の例をあげながら紹介します。

また、高齢者になると色覚が変わる理由も合わせて解説するので、ぜひ参考にしてください。

高齢者になると「見やすい色」が変わる理由

70代以上の高齢者になると老化や病気が原因で、目が見えにくくなったり、色の識別が難しくなります。

人が色の情報をキャッチする時、ピント調整の役割を持つ水晶体が働いているのですが、この水晶体が老化や紫外線の影響により濁ることで、若い時よりも視界が色褪せて見えるようになるのです。

水晶体の老化は40代から少しずつ進み、濁り方によっては元の透明色から「黄色→褐色→茶色」へと徐々に変化していきます。そして80代を超える頃には、水晶体が茶色になっている方がほとんどで、まるで茶色のサングラスをかけた時のような見え方になるそうです。このように、目に映る情報が全て黄色〜茶色に見えてしまう他に、光が以前よりも眩しく見えることもあります。

なお、水晶体が黄色に変色してしまうことは、白内障という目の病気であることがほとんどです。白内障は70代以上の高齢者の9割に起きる症状ですが、症状の進行具合によっては手術をして改善する場合もあります。

また、水晶体の変色は時間をかけて少しずつ進行していくため、高齢者本人は見えている色が変わったという自覚が難しく、若い頃と同じような感覚で階段を降りたり、暗い夜道を歩くことは怪我や事故といったトラブルに繋がる可能性もあるので注意が必要です。

つまり、介護をする際は、自分(介護する側)と同じ色や明度で見えているわけではないということを理解した上で、接することが大切です。

高齢者が見えにくい色・配色

高齢者が見えにくい色・配色

高齢者の方が見えにくい色には「青色・黄色・グレー」があげられます。水晶体の黄変により、それぞれの色がどのように見えるのか、どんな色の組み合わせが見えにくいのかを確認しましょう。

同じ明度・彩度の色は見分けが難しい

前述した通り、高齢者の方は老化によって目の水晶体が黄変していきます。そのため、視界に黄色〜茶色のベールがかかっている状態になり、一見異なった色でも明度や彩度が同じだと、色の違いを見分けることが難しくなるのです。

例えば、「青色と黒色」は明度が低いため青が黒っぽく見え、「黄色と白色」は明度が高いため黄色が白っぽく見えます。他にも明度の高いパステルカラーや、彩度の低いグレーやくすんだ色も見分けがつきにくいとされています。

見えにくい色の組み合わせ・配色

色の組み合わせにも明度や彩度が関係しており、一般的には明暗差やコントラストがない配色は、色の違いを認識しづらいとされています。

例えば、次のような配色は、介護施設や病院では避けた方が良いでしょう。

  • グレー×黒色
  • 緑色×黒色
  • 茶色×黒色
  • 青色×茶色
  • 青色×緑色
  • 水色×ベージュ
  • 水色×ライトグレー
  • 白色×黄色
  • 白色×ベビーピンク

寒色系同士、暖色系同士、淡い色同士、明るい色同士、濃い色同士など、明度や彩度が同じような色の組み合わせはおすすめできません。

組み合わせ方によっては全て同じ色に見えるという高齢者の方もいるかもしれないので、高齢者向けのチラシや掲示物を作成する時は注意してください。

また、介護施設や病院などHPを意識して見てみると、背景やロゴマーク、文字など、様々な情報が混在していますが、上記のような組み合わせはないはずです。基本的にはユニバーサルデザインを使った高齢者に優しい色使いのものが多いので、色使いに悩んだ際は参考にしてみましょう。

高齢者が見やすい色・配色

高齢者が見やすい色・配色

一般的に、高齢者の方が見やすい色には「赤色・オレンジ・緑色」があげられます。これらの色は水晶体の黄変があまり影響しない色であることから、ユニバーサルデザインなどでもよく使われる色です。ここでは見やすい色を踏まえながら、高齢者の方が認識しやすい配色も紹介していきます。

鮮やかで濃い色は見やすい

赤色やオレンジといった色のハッキリとした暖色系は、視界が黄色っぽく濁ることでより濃く見えます。また、寒色系である緑色は、視野の黄変の影響をほとんど受けないため比較的そのままの色が認識できます。

赤色・オレンジ・緑色は、それぞれの色が持つイメージも良く、高齢者の方の気持ちがポジティブになったり落ちついたり、様々な効果が期待できるでしょう。それぞれがもつ色のイメージは次の通りです。

  • 赤色:活力、エネルギー、自信など
  • オレンジ:元気、賑やか、ワクワクなど
  • 緑色:安心、平穏、リラックスなど

この他にも、ピンクや水色、黄緑などの明るくてハッキリした色も見やすく、高齢者の方が好む傾向にあります。ちなみに、これらの色がもつイメージは、ピンクが若返りや幸福、水色が自由や創造、黄緑が前向きや希望といったもので、いずれも心理的に良い影響を与えるでしょう。

コントラストがはっきりとした配色は見やすい

高齢者の方が見やすい色の組み合わせ・配色は、明暗差やコントラストが大きくあるものです。それぞれの色に差がつくことで、対比がわかりやすくなるのです。

例えば、次のような色の組み合わせ・配色だと高齢者の方も見えやすいでしょう。

  • 白色×黒色
  • 白色×青色
  • 白色×赤色
  • 黄色×黒色
  • 黄色×青色
  • 黄色×紫色
  • 深緑色×白色
  • ピンク×白色
  • 黄緑色×ネイビー

なお、ここで紹介した色の組み合わせは一例にすぎません。介護施設内の掲示板やチラシ、レクリエーションの道具などを準備する場合は、褐色〜茶色のサングラスをかけてどんな色に見えるのかを試してみてください。そうすることで、実際の高齢者の方の見え方を体験することができなくても、高齢者の方に配慮した物が作れるようになるはずです。

高齢者が見やすい色で気持ちも明るく!

高齢者が見やすい色で気持ちも明るく!

高齢者の方は老化により、視野が濁ったり、黄色っぽく見えるようになります。中には「以前は青空が清々しく綺麗な青色だったのに、いつの間にか毎日が曇り空にしか見えなくなった」という方もいるでしょう。

また、視野の変化だけでなく、身体を思うように動かせなくなってきたり、誰かと会うのが億劫に感じるようになったりと、様々な面で不安や焦りを感じているのです。

だからこそ高齢者の方が目にするものは、見やすい色の中でも「なるべく気持ちが明るくなる色」を選ぶようにしてください。赤色・オレンジ・緑色のほか、水色や黄緑色、ピンクなどもおすすめです。

私たち日本保健福祉ネイリスト協会では、2012年の活動開始以来、福祉ネイルという美容を通じて、高齢者の方が輝きある日々を送れるようサポートしてきました。

高齢者の方にネイルを行う際は、くすみ系のカラーはご要望がない限りは避け、ハッキリした色のネイルを選ぶようにしています。また、ピンクなどの明るい色は高齢者の方から人気があり、これまでにも多くの喜びの声をいただきました。

福祉ネイルでもっと多くの高齢者の方の笑顔が増えるよう、福祉ネイリストの育成や福祉ネイルの研究集会にも力を入れておりますので、「施設に美容サービスを導入したい」とお考えの際は、ぜひ日本保健福祉ネイリスト協会にご相談ください。

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